内容説明
『秘抄』から古今東西の文化へ.『秘抄』の歌詞につき動かされた著者は,個人的な経験をよびさまし連想を馳せ,文化論へと筆を運ぶ.
目次
前口上(『梁塵秘抄』とは何か;歴史的な意味;なぜ読むか;この本について)
後白河法皇(政治家;人間;芸術家または「口伝集」)
梁塵秘抄巻第二(仏教;日常性;性的表現;女心の歌;翻訳)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
零水亭
12
文章が高邁で戸惑いましたが、俄然原文に興味が湧きました。2023/10/21
mustache
2
頼朝をして「日本第一の大天狗」と言わしめた稀代の陰謀家、後白河法皇、彼は同時に当時の流行歌である今様を謡うのを何よりも好み、老いて引退していた遊女乙前を身近に住まわせて、今様の謡い方や新しい節について教えを請うほどに傾倒した。その後白河が編纂した『梁塵秘抄』に集められた庶民の感情や表現を、約束事で縛られた和歌の世界と対照することにより、思うがままに権力を振るったように見えるこの陰謀家が、何によって人間的なバランスをとっていたかを加藤周一は明らかにする。後白河理解の出発点となる名著だ。2015/06/09