出版社内容情報
コロンブスが創めた事業に挑戦する新世界と,受けて立つヨーロッパ.この応答劇がはらむ今日的問題を選び抜かれた作品の群れが鮮やかに語り出す.ここに大航海時代の群像は我らが同時代人となる.作品の大半が本邦初訳.
内容説明
ペルー布教の現場統轄者としての経験に裏打された、イエズス会士による布教論の精髄。新世界全域へと拡がる布教戦略が浮かび上がる。
目次
インディオの霊を救済することに絶望することはない。:インディオへの布教は困難であるばかりか、ほとんど無益であると多くの人びとが考える理由。
キリストの僕は宣教の困難に動じることなく、自信をもつべきである。
インディアスの民はいかに野蛮であろうとも、主の恩恵から排除されることなく、救われる。
神は、いま、インディオに福音を呼び掛けておられる。〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二升石
1
半分のやや手前でギブアップ。この本が書かれた時代背景について少しは知っているつもりだったが、甘かった。具体的な言及は何も無い。にも拘らず、当時の人権侵害の凄絶さ、果てしなさが、文字通りの肌感覚で伝わって来る。しかも、アリストテレス以来のロジックを使い先住民を蹂躙する者たちのみならず、それと対す立場の著者も、深淵を覗いたために深淵に覗かれてしまったこれではまるで怪物の様…。日本史上でキリスト教が弾圧された本当の理由が初めて理解できるなど、鋭い示唆を数多く含む名著ではあったが、読むだけで体調が崩れそうだった。2021/04/01