出版社内容情報
西欧中世の民衆は,時間や空間,また法・富・労働などの観念をどう捉えていたのか.バフチーンの流れをくむ著者が,エッダ,サガから『神曲』にいたるテクストの読みを通し中世人の意識の深層をさぐる.
内容説明
西ヨーロッパ中世の民衆は自分たちの生きる世界をどう見ていたのか。時間意識や空間感覚、また法・富・労働といった一連の概念はどのように捉えられて基本的人間関係が成り立っていたのか。バフチーンの流れをくむ著者が、エッダ、サガからダンテ『神曲』にいたるテクストの分析を通し、豊かな事例を挙げながら、現代人とはまったく異質な中世人の心性を浮かび上がらせてゆく。中世史研究に新しい展望をひらいた画期的な著作を、ル・ゴッフ『煉獄の誕生』について付論を収めた原書第二版から邦訳。
目次
第1章 序論・中世人の〈世界像〉
第2章 中世の「クロノトポス」
第3章 「国は法の上に建ち…」
第4章 富と労働についての中世的表象
第5章 結論―人間的個性を求めて
付録 『煉獄の誕生』と文化史方法論の諸問題