作家の方法<br> ムージル 観念のエロス

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作家の方法
ムージル 観念のエロス

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784000035101
  • NDC分類 940.28

出版社内容情報

「特性のない男」とは誰か――解体してゆく精神の〈現実〉,その形を精密になぞる観念の運動はエロティックだ.いま,もっともスリリングな小説作法,エッセイズムをめぐってムージルとかわす創造的対話.

内容説明

虚なるもの、雪崩れる時空、不可能な愛。精神性の極北をかたどる思考のエロス。仮借ないエッセイズムが、ムージルを奏でる。

目次

1 精神による実験(未知の兆し―『トンカ』;音楽の予感―『愛の完成』;円環の運動―『静かなヴェロニカの誘惑』)
2 エッセイズム―『特性のない男』(中間の消息;精神の運動;イデーの逆説)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

56
ムージルについての講義録をまとめたもの。著者自身が翻訳した『愛の完成』『静かなるヴェロニカの誘惑』の解説などがある。この二つについては文庫で読んで驚愕した覚えがありぜひとも解説が欲しかった。代表作「特性のない男」についても論じている。しかし難解であり説明しにくいが魅力的な世界だ。抽象的な観念を描くのが得意なドイツ語と、それらには貧弱過ぎる日本語のズレを語ってある。小説と学者の論文との中間にあたる『エッセイ』について(随筆というわけでない)の解説も面白い。彼の得意な作風の秘密といえるだろう。2017/05/19

hitotoseno

3
・『トンカ』の分析、著者の出世作『杳子』がチラチラと頭を離れない。せいぜい女の名前を題に冠し、ひそやかな愛の営みが行われるくらいしか共通項がないはずだが。しかし肉体を越えたところのメタフィジックな領域にある女への信仰、なんて言い出すとどうしても杳子が浮かんで仕方ない。「(世界がまとまりを失って一つ一つの細部へ分解してしまう。)これは精神病者のしばしば訴えることでもあるそうです。まとまりとして見えていたものが、まとまりを失うと個々のものがそれぞれの生命力を主張し始める。それがてんでに押し入ってくる。2012/07/06

Bevel

1
特性のない男はまだ別としても、ムージルの小説は抽象度が高い。落ち着く場所を想像できないまま重ねられる比喩が、異なる時間感覚を持って繰り返されていく。古井は、そんなムージルの小説を手際よくまとめ、一方で筋としての特殊さを際立たせ、もう一方で彼の言葉や、文体に細かくいくつもの視点を差し込んでいく。さらにムージルのやりたいことの全体的なイメージまで与えてくれる。2011/11/21

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