出版社内容情報
特効薬プロミンの開発により,ハンセン病は過去の病気となった.しかし,差別と偏見は過去のものとはなっていない.現行らい予防法の問題点はとくに大きい.作家・島比呂志が療養所から送りつづける渾身の訴え.
内容説明
特効薬プロミンの開発により、ハンセン病は過去の病気となった。しかし、根づよく残る差別と偏見は過去のものとはなっていない。患者の社会復帰を保障していない現行らい予防法の問題点はとくに大きい。作家・島比呂志が療養所から送りつづける渾身のメッセージ。
目次
小川正子の虚像
医師の暴言と「危険手当」
無情の門
大赦無用
ただ1つの途
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
69
2016年1115冊め。文芸作品中で扱われているらい病というものは誤った知識に基づく記述が多い。もちろんそれらが著された時代背景を鑑みると知識不足であるのも致し方ない面はあるのだが、本作で指摘されているように瀬戸内晴美(瀬戸内寂聴)や大岡昇平ですら、50年も遅れているような過去の遺物的知識に拠って書いているのである。しかしなにも文学界に限ったことではない。新薬プロミン開発(1943年)後も53年にわたって隔離政策がとられていたわけで、政治や法、医学界、日本国全てにおいての怠慢だったわけである。(続)2016/12/20