出版社内容情報
教育勅語発布百年.思想統制に果した役割を,高校教諭である筆者が,若者たちにわかる言葉で,現代の問題意識にひきよせて解説.教育勅語の明治謄本,奉安殿の写真,明治前半の「私擬憲法」など,資料豊富,テキストに最適.
内容説明
教育勅語発布百年。思想統制に果した役割を、高校教諭である筆者が、今の若者たちにわかる言語で、現代の問題意識にひきよせて解説。
目次
沖縄戦の非劇と皇民化教育
「教育勅語」―本文と内容
「教育勅語体制」
「教育勅語体制」のねらい
「教育勅語体制」の効果
よみがえる「教育勅語体制」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
河織吾郷
13
著者は冒頭で、沖縄戦について共同執筆したある本をこのように紹介している。「『沖縄戦・国土が戦場となったとき』と題して刊行された。この事実についての記述は裏づけとなる資料や明白な証言もないままだった〔中略〕仮にそうなった(反論に対し著者が認めた)としても、その忌まわしい事実を否定されることのほうが、私にははるかに救われる気持ちになれるに違いない。」(p.10、括弧内河織)。この一文で続きを真剣に読む気が失せました。これから教育勅語を批難するけど、これも事実無根だけど許してねって述べてるに等しい言質ですよ。2015/09/14
Takao
2
1990年11月20日発行。著者がまだ筑波大附属高校の教員をしていた頃の著書。当時の授業での生徒の感想なども交えて書かれている。この本から25年経った現在、学校教育に対する様々な統制が形を変えておこなわれている。自由民権思想がひろまっていた明治中期の大人社会を、学校教育(教育勅語体制)を通じて変えていこうという試みは、今、形を変えて「教科書」を通じて行われようとしているように感じる。歴史に学ぶことがますます必要になってきていると感じた。2015/11/19
Scotch
1
非常に読みやすい。あえて今、この現代で教育勅語を読み解くことで、日本の過去を見つめなおすことができるだろう。2012/01/13
ちいたま
0
沖縄戦の悲劇と教育勅語との関係性を出発点に、高校社会科教員としての経験を踏まえ、教育勅語再評価路線に警鐘を鳴らす書です。30年以上前の書ですが、これよりもさらに以前から政治家による教育勅語肯定論などは存在したようで、問題の根深さが窺えます。後世でも、同じく岩波ブックレットから『教育勅語の何が問題か』(教育史学会編)が2017年に刊行されており、論争に終止符は打たれません。なお、ルポ的色彩の強い本書と比較して、同書は理路整然と問題点がまとめられ、より洗練されているように思われました。2024/02/21