文学とは何か - 現代批評理論への招待 (新版)

文学とは何か - 現代批評理論への招待 (新版)

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  • サイズ A5判/ページ数 450p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784000028684
  • NDC分類 901
  • Cコード C1098

出版社内容情報

近現代の世界の文学の様々な潮流を見極め,文学の問題を論じ尽くした画期的な名著の10年ぶりの増補改訂版.明確なる視座に立ち,ポストコロニアル批評,新歴史主義,カルチュラル・スタディーズ,フェミニズム批評など,この10年間に起こり,あるいは展開した文学の,さらには言論をめぐる動向を大きく俯瞰し,精細に論じる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

22
語り得ぬ文学を前に沈黙してはならない。文学、という学問は近代の生んだ新しい学問であり、その背景には、宗教的価値観・倫理・道徳の危機に際し、その変わりとなるものを創出するという意図があった。その誕生以降、目まぐるしくヘゲモニー争いをする文学理論を丁寧に解説。こんがらがった影響・対立関係を解きほぐしたのち、狭義の文学・文学批評のリミット、限界点を提示し、終焉を告げる。いわく、どのような批評・理論でも、その時代の社会的影響を受けざるを得ず、イデオロギーを内包する。一読後は迂闊に「文学」という言葉を使えなくなる。2013/07/31

マウリツィウス

22
イーグルトンの記録した現代批評理論大系化はテクスト概念の復帰要素を兼ねる。古典期に確立した可能性予期を備えた文学観は虚論反映=間テクスト性との対照と対応を踏まえている。ここでの論旨はギリシャ系文書の定義問題で古典とされたテクストとは何と称すかが第一義問題、旧来の芸術論を再構成した本著はフランス現代映画と文学理論を参照引用、最典型となるべきは聖書論の明瞭提示であり言語観において古典派/現代思想の共有性を除外、文明論とは近代ヴィジョンの幻影に過ぎないと尽し表現する。従来の伝統と葛藤を配慮した世界文学の目録欄。2013/05/22

瓜坊

19
「文学」とは何か、「文学理論」が扱うものが文学である。その文学理論というものは政治的な言説であり、イデオロギーが既に背後にあって形作られる。いやそんなことないという態度は盲目的で、むしろそのイデオロギーを覆い隠し頑強にする方向に働く。自明だと考えられているものは制度によって生まれたもので…という柄谷行人の『日本近代文学の起源』を思い出しながら読んでた。文学部の学生だったときから読むべき本だと言われていたのに、読まなかったのを後悔している。もっと早く読んどきゃよかった。2018/08/14

Ecriture

14
イデオロギー、政治、利害(interest)と分かちがたく結びついたものとしての文学・文学理論入門書。宗教的イデオロギーの凋落を補填するイデオロギー装置としての文学、文学(理論)的形式への注目は政治からの逃避であり保守性を帯びている、というモチーフが何度も登場する。訳業が素晴らしい。無い物ねだり的批判の名手イーグルトンは、学生だったら嗜められて書きなおすところでもアカデミックな制度によって保証された権威によって通用させることができている。どのような利害が彼を政治へと追い詰めたのかが気にかかる。2012/06/02

吉野ヶ里

12
借金玉がオススメしてたんで手に取る。読んだ、が。という感じ。文学がどのようにアカデミズムで扱われて来たのかを、時代ごとのイデオロギーと照らし合わせながら確認していく一冊。難解ではないが、読んでいくのに丁寧さが必要、背景知識がないまま通読したが、すさまじく疲労した。現象論や構造主義など、各思想の説明が明快であり、文学理論というより、哲学史入門な気分だった。フッサールからウィトゲンシュタインまでの座標が見えやすくなったかも。落とし込み切れてないので、もう一度精読してから、何度か読み直します。良い本です。2020/10/20

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