記憶のエチカ - 戦争・哲学・アウシュヴィッツ

記憶のエチカ - 戦争・哲学・アウシュヴィッツ

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  • サイズ B6判/ページ数 283p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000027519
  • NDC分類 104
  • Cコード C0010

出版社内容情報

「ショアー」と従軍慰安婦の証言――戦争の記憶を哲学はどう語るのか.アーレント,レヴィナス,京都学派の思考を批判的に読み直しつつ,戦後精神の忘却と空白を問う.新たな「民族の論理」に抗して.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まると

10
1995年刊。アレント「全体主義の起原」やランズマンの「ショア―」などを題材に、歴史の中で「記憶されえぬもの」「語りえぬもの」は生じるのかを主題に考察した論考集。確かに、生還者が一定程度いたアウシュヴィッツに比べて、ほぼ100%殺害を達成したヘウムノなど他の絶滅収容所の記憶は語り継がれているとは言い難い。ユダヤ人抹殺の事実を消去しようとしたナチスの企みは一部で達成されたといえなくもない。ネットに玉石混交の情報があふれ、真実が埋もれてしまう現代だからこそ「忘却の穴」は生じうるのだと肝に銘じなければならない。2020/03/31

飛燕

1
冒頭の論考「記憶されえぬもの 語りえぬもの」は濃密な思索が展開されている。「われわれ」の立場から歴史を物語るとき、「われわれ」が記憶していること、言葉にできることだけを紡いではいないか、結果として勝利者によって痕跡を抹消された他者の記憶が、「われわれ」には「記憶しえない」し、「語られえない」ことに陥り、権力者が意図した通りに他者を忘却していないか。「われわれ」が語る「歴史」には他者を隠蔽・忘却する暴力が働いているのではないか。

瀬希瑞 世季子

0
アーレントを批判的に読み解き、記憶の忘却、そしてその忘却すらも忘却してしまうような暴力性を浮かび上がらせていく。高山岩男を参照しながら反帝国主義的な哲学が〈反帝国主義的な帝国主義哲学〉として現れていくのを分析した5章が面白い。2022/12/18

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