出版社内容情報
17世紀にみるデカルトの独自性とは? 本書は初期ノートから『省察』まで「理性」概念の体系を追い,二元論,心身結合の問題点を大胆かつ具体的に検証する.言語・想像力など理性の限界領域に迫る新しいデカルト研究.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
11
「これまで観客として過ごしてきたが、世界という舞台に仮面を被って私は進み出る」とアカウント開設したてのSNSユーザーみたいな文章を書いた若きデカルト。哲学者の全貌を読み解くこの研究書では、言語学の大家チョムスキーが示したデカルト言語論の誤読を示したりライプニッツと比較したりしつつ、運動や相対性の問題も取り上げる。事物の本質を個々にではなく、他の事物から認識される限りにおいて関係や系列の中で調べるよう勧めたデカルトが、運動はそれ自体だけで成立せず他と連関して相対的にしか規定できないと後に論じた点は興味深い。2019/06/28