出版社内容情報
すべてヨーロッパ製の政治思想の語彙によって,われわれは自らの政治を考察できるのだろうか? 本書は,自由・非政治的なもの・保守主義の考察を軸に,政治思想の中のヨーロッパ固有性を括り出し,その限界を明らかにする意欲作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buuupuuu
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自由には他者に隷属していないという「状態」の側面と善なる行為ができるという「能力」の側面とがあり、政治思想では中世から近代へと時代が進むに従って能力としての自由から状態としての自由へと重点が移っていったのだという。能力としての自由をはじめて明確に述べたのはアウグスティヌスである。16世紀には宗教改革の混乱などもあって人間の現状に対するペシミスティックな見方が広がり、政治の目的が理想的状態を実現することから安定性の維持へと変化していく。近代的な保守主義の成立もそのようなペシミズムを受けてのものであるという。2023/02/26
check mate
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「…優れた研究〔丸山眞男・福田歓一のような〕が、優れていればこそ、読者の思考と歴史的想像力に対して制度化=定型化作用を営むこともまた、逆説的ではあっても、歴史の学習における真実である。」30頁2021/01/31