内容説明
時代の危機をいち早く察知して作品に取りこみ、それが社会に対する警告や警鐘になったことが少なからずある。『出エジプト記』『コロンブス航海誌』『エマ』『レ・ミゼラブル』『白鯨』『グリム童話集』『不思議の国のアリス』『闇の奥』『駱駝祥子』『怒りの葡萄』『グスコーブドリの伝記』等、二四篇の古典・名作の中から、森林破壊、大気汚染、地球温暖化、干ばつなど環境をめぐる問題を取り出し、それが地球の環境史の中でどういう意味をもつのかを読み解く。環境史の第一人者による斬新な試み。
目次
独裁者が引き起こした環境の荒廃―ユン・チアン『ワイルド・スワン』
地球温暖化を利用して冷害を救う―宮澤賢治『グスコーブドリの伝記』
農地への重圧が招いた米国の大砂嵐―ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』
黄砂のなかを走る人力車―老舎『駱駝祥子 らくだのシアンツ』
全世界を巻き込んだスペインかぜ(上)―キャサリン・アン・ポーター『幻の馬 幻の騎手』
全世界を巻き込んだスペインかぜ(下)―岸田國士『風邪一束』
アマゾンの隣は大砂漠―ラケル・デ・ケイロス『旱魃』
植民地収奪が追い詰めたアフリカゾウ―ジョセフ・コンラッド『闇の奥』
外国人が賞賛した明治初年の自然―イザベラ・バード『イザベラ・バードの日本紀行』・エドワード・S・モース『日本その日その日』
帽子屋はなぜ水銀中毒にかかったのか―ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』〔ほか〕
著者等紹介
石弘之[イシヒロユキ]
1940年東京都に生まれる。東京大学卒業後、朝日新聞社に入社。ニューヨーク特派員、科学部次長などを経て編集委員。85~87年国連環境計画(UNEP)上級顧問。1996~2002年東京大学大学院教授。02~04年駐ザンビア特命全権大使。04~08北海道大学大学院教授、08~11年東京農業大学教授。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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