出版社内容情報
魔女を火刑台に送った法と物語とは何か.悪魔学・魔女学の16世紀を代表する三つの書物.魔女裁判マニュアル,法学的「告発」の書,医学的「救済」論を読む.魔女を造形した法廷の言説が語る,ルネサンス精神のもう一つの系譜.
内容説明
あなたの隣りに、悪魔と魔女がいる。この信念を支えた言葉の戦略とは何だったのか。魔女を召喚し断罪した、法廷としての書物。その告発と弁論に浮かび上がる、知られざるルネサンスの闇の顔とは何か。火刑台と共にあった中世末期からルネサンス期にかけての、三つのベストセラーを読む。異端審問官の手になる『魔女への鉄槌』、世紀最大の人文主義者ジャン・ボダンによる魔女弾劾の書『魔女の悪魔狂』、そしてプロテスタントの医師ヨーハン・ヴァイヤーの魔女狩りへの異議申し立ての書『悪魔による幻惑』。これらの書物は「いかに」して悪魔と魔女を語ったのか。その論理とレトリックを丹念にたどり、背後に潜む中世神学的な、あるいは近代法学的・医学的な発想の枠組みを明るみに出す。デモノロジーの書物が織り上げた魔女像から、時代の世界観が浮かび上がる。
目次
序章 悪魔のいるルネサンス
第1章 末期スコラの魔女学―『魔女への鉄槌』考
第2章 魔女観と国家観の交差へ―ジャン・ボダンの『魔女の悪魔狂』
第3章 魔女学の論理から文学へ―ヨーハン・ヴァイヤー『悪魔による幻惑』
第4章 法と魔女―ボダンの「ヨーハン・ヴァイヤーの意見への反駁」
終章 悪魔と魔女の世俗化
著者等紹介
平野隆文[ヒラノタカフミ]
1961年生まれ。専攻:フランス・ルネサンス文学・思想。東京大学大学院人文社会系(フランス文学専攻)博士課程修了(文博)。現在、青山学院大学文学部フランス文学科助教授
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