残りの時―パウロ講義

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  • サイズ B6判/ページ数 296,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000018173
  • NDC分類 193.71
  • Cコード C0014

内容説明

パウロを読み直しながら、聖書学・政治哲学・存在論の領域を自在に往来し、それらを貫く未知の思考を編み出そうとした、アガンベンの挑戦。パウロ書簡に、新しい法と権力の理念を掘り起こし、その基盤にある時間変容の経験に論理的な表現を与えて、政治哲学と存在論とを架橋しようとする。「残りの時」とは、終末ではなく、祭のあとの時間でもない。それは過去と未来を分離する「今・ここ」を、さらにもう一度切断することによって現れる、実存と共同性にかかわる異質な次元のことなのだ。パウロが「召命」と名づけたこの次元の経験は、遠くヘーゲルの止揚に、マルクスの階級に、そしてデリダの差延にもその共鳴板を見いだす。ベンヤミンとともに著者が試みる、「メシアニズム」の再生は、世俗化と啓蒙による近代という精神史の常識を揺るがす起爆力をもち、現代の生存と政治の命運に知られざる視野を提供する。

目次

パウロス・ドゥーロス・クリストゥ・イエースゥ
クレートス
アフォーリスメノス
アポストロス
エイス・エウアゲリオン・テウ
閾あるいはトルナダ
パウロ書簡
アガンベンの時 対談解説

著者等紹介

アガンベン,ジョルジョ[アガンベン,ジョルジョ][Agamben,Giorgio]
1942年、ローマ生まれ。2003年11月より、ヴェネツィア建築大学美学教授

上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年生まれ。専攻、学問論・思想史。東京外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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プロメテ

10
ジョルジョ・アガンベンによるパウロ講義。文献学や語源、ギリシャ語の意味など、言葉そのものの深いところで織り成されるロマ書を中心とする専門的な註解書。私は召命の箇所とマルクス、ヘーゲルが参照されているところは興味深く読んだ。しかし後半とても難しかったのであまり頭に入らず。また私のキリスト教に対する興味が尽きていたのがわかった。世界史を読みたい気持ちが強くなった。自分の由来は世界史と織り成される思想の連なりををまとめていくことであるかということを思った。興味は変わっていくが読書は自分を発見する行程なのだろう。2024/04/23

hitotoseno

9
まずアガンベンはパウロが元々「サウロ」という名前を持っており、「パウロ」は渾名、ないし自らが戦略的に行った改名であることを確認する。たとえば旧約聖書においてアブラハムは元々「アブラム」であり、サラは「サライ」であった。つづりを少しいじるだけの改名は一見取るに足らない事のように見えるが、ユダヤ教においてはその付加や変更が名前全体に調和をもたらす重要な行為と見なされている。2017/05/20

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