出版社内容情報
日々の暮らしのそこかしこに,四季は転がっている.旬の食べ物に愛用品の話,身の回りの出来事,つい笑ってしまう失敗談,古本屋修業の頃の思い出,迫りくる老いをめぐる話など,著者のほのぼのとした感覚が伝わってくる珠玉の随筆集.各章に『漱石全集』にまつわる思い出を付す.
内容説明
そこかしこに小さな季節は転がっている。旬の食べ物に愛用品の話、『漱石全集』の思い出、そして大震災後の日々…。あたたかい目線に包まれた随筆集。
目次
1 立春出世(紅白;餅づくし ほか)
2 猛暑の悪戯(移動図書館の猫;ゴム ほか)
3 堪忍袋(書籍婚;耳かき ほか)
4 煉炭灰のにおい(円本漱石;お化け ほか)
著者等紹介
出久根達郎[デクネタツロウ]
1944年、茨城県生まれ。作家・古書店主。1973年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら文筆生活に入る。1992年、『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞を、翌年、『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ryoichi Ito
5
古書店の小僧になったころのことから東北震災直後まで。「震災を体験して,私はちょっぴり正気に戻った…隅っこに転がっているような小さな季節の風物が,いとおしくなってきた。これは散文でつづる私の生活句集である」まこと,出久根さんはエッセイの名手だ。 2020/12/15
okatake
1
四季を通じたエッセイ集。出久根さんの文章は、郷愁を感じる。日常の何でもないことを題材にして、読者になんとも言えない懐かしさや心の静まりを与えてくれるのである。2015/07/11
おきゅ
0
四季ごとにテーマを作ったエッセイ集。2013/07/04
wasabi
0
著者の回顧すべてを自分の想い出には重ねられない。それなのに読んでいて懐かしい。父母から語り継がれたこともあるし、子供時分にはそれなりの名残があった。空調なんぞなく、四季を感じて暮らした昭和の時代。あのころの心の温もりが伝わってくる。2013/03/23
彩美心
0
嫌味のない随筆である。この人のおかげで、知性と学歴は関係のないものだと知った。ましてや感性など。笠間章さんの話に勇気づけられた。私はまだ笠間さんが勉強を始めた歳の半分である。それでできないわけがないじゃないか。勉強しようと思った。2013/06/30