出版社内容情報
人間の連帯は,他者が被る残酷さへの感性,想像力を拡張することで達成されるべき目標なのだ.20世紀の代表的哲学者が,ありうべき社会はいかに構想されるかという課題に,リベラル・ユートピアの可能性の提示をもって応える.
内容説明
人間の連帯は、真理の哲学的な探求によっては不可能である。他者が被る残酷さに対する私たちの感性を拡張することによって、連帯は達成されるのだ。20世紀後半を代表する哲学者が、ありうべき社会はいかに構想されるかという課題を、永遠に自由を実現してゆく終わりなき過程である「リベラル・ユートピア」として描き直す。世界中に大きなセンセーションを巻き起こした「哲学と自然の鏡」の政治哲学的帰結―衝撃の問題作。
目次
第1部 偶然性(言語の偶然性;自己の偶然性;リベラルな共同体の偶然性)
第2部 アイロニズムと理論(私的なアイロニーとリベラルな希望;自己創造と自己を超えたものへのつながり―プルースト、ニーチェ、ハイデガー;アイロニストの理論から私的な引喩へ―デリダ)
第3部 残酷さと連帯(カスビームの床屋―残酷さを論じるナボコフ;ヨーロッパ最後の知識人―残酷さを論じるオーウェル;連帯)