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内容説明
3人に1人はがんで死ぬといわれているが、医者の手にかからずに死ねる人はごくわずか。中でもがんは治療をしなければ痛まないのに医者や家族に治療を勧められ、拷問のような苦しみを味わった挙句、やっと息を引きとれる人が大半だ。現役医師である著者の持論は、「死ぬのはがんに限る」。実際に最後まで点滴注射も酸素吸入もいっさいしない数百例の「自然死」を見届けてきた。なぜ子孫を残す役目を終えたら、「がん死」がお勧めなのか。自分の死に時を自分で決めることを提案した、画期的な書。
目次
第1章 医療が“穏やかな死”を邪魔している
第2章 「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」
第3章 がんは完全放置すれば痛まない
第4章 自分の死について考えると、生き方が変わる
第5章 「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける
終章 私の生前葬ショー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
161
医師の著者が、終末医療の罪について、斬りまくる。胃瘻、点滴、大量の薬の投与。手を尽くしてるようで、実は患者を苦しめていると言う。それらに頼らない「自然死」を見たきた著者のオススメは「ガン死」だ。末期のガンは苦痛なく、あの世に導いてくれるそうだ。この本の全ては受け入れがたいが(痛みに弱いので)死を考える事は生を考える事だと言う、著者の言葉に共感。私は、老死は外から来るのじゃなく内にあるのだと思う。いい塩梅に老い(枯れ)お迎えが来るまで生きたい。著者のように生前に棺桶に入る覚悟はない。変人・・ユニークな方だ。2013/04/11
パフちゃん@かのん変更
139
若いうちならともかく、ある程度歳を取ったら延命措置は必要ない。でも苦しんで死ぬのはイヤだから、痛みは取ってほしいし、痛みのもととなる行為も止めてほしい。自分なら納得できるのは①心肺蘇生は行わない②気管切開はしない③食べ物を受け付けなくなってからの胃瘻や中心静脈栄養は行わない。普通の点滴や酸素マスクを拒否するかどうかは状況によりますね。自然死(餓死、脱水)が楽だというのは解った。でもそれは体が受け付けなくなったらということで、自分から餓死はできない。2014/01/14
トリオネア
132
苦痛は嫌なので体が動かなくなる前にポックリ希望、その後は風葬でもサメの餌でも構わない考えですが、「永遠に生きていたい、そのまま保存してほしい」と話す知人も数名存在するので、延命処置も必要なものだと思います。生とは食べるために間接的でも他の命を奪う事、1日1命としても1年で365命。自分の体も元は無かったものをまた土に返すだけで、これが辛いと感じる人には宗教が支えになる事もあるでしょうね。結構面白かったです。2020/01/30
もりやまたけよし
96
医療の現実を垣間見ることが出来ます。でも、自然のまま枯れてゆくのはやはり難しそうです。辛いと病院に行ってしまうと思います。2017/08/23
佐々陽太朗(K.Tsubota)
95
本書にはその題名をはじめ医療従事者の神経を逆なでするような言葉が踊っている。「医療が”穏やかな死”を邪魔している」「介護の”拷問”を受けないと、死なせてもらえない」「”できるだけ手を尽くす”は”できる限り苦しめる"」「”がん”で死ぬんじゃないよ、”がんの治療”で死ぬんだよ」など枚挙に遑がない。やや品格に欠ける言い回しだとも思います。本書は現在の大方の医療が正しいとしていることへの強烈なアンチテーゼです。その意味で自分の生き様と死に様を考えるきっかけになります。さて自分は死に臨んでどうするか。2021/02/21