内容説明
7年間かけて3億キロの彼方にある小惑星イトカワまで、星のサンプル採取に旅立った惑星探査機はやぶさ。その2003年5月の打ち上げから、2010年6月の感動の地球帰還までの試練に満ちた全プロセスを、単独でプロジェクトチームに綿密な取材を続けた山根一眞が、他では知り得ない情報をふんだんに盛り込んで一冊にまとめた。
目次
1章 「はやぶさ」の旅立ち
2章 3億キロ彼方へ
3章 地球に戻ってきた日
4章 88万人の同行者
5章 女神の海をめざせ
6章 「イトカワ」へようこそ
7章 4時間だけの歓声
8章 行方不明の冬
9章 そうまでして君は
10章 大星空から「さようなら」
11章 おかえりなさい
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
晴れの国のにっしぃ
43
ニュースを見て、凄いことだと漠然とは理解しているつもりでしたが、舞台裏や関係者の情熱を知ることができ、“はやぶさ”の大冒険をより身近に感じることができます。ノンフィクションですが上質なエンターテイメントに仕上がっています。ちょっと凹みがちな出来事が多い中、(私を含めて)夢と勇気を分けてもった方も多いのでは。蓮舫さんには是非とも読んで欲しい一冊です。2010/10/02
マーム
36
巻末に掲載されていたはやぶさが大気圏に突入した際の写真は美しく、これを見ることができただけでもこの本を購入した甲斐があったというもの。このとき、はやぶさは随分明るく輝いたなと思ったら、姿勢制御用の燃料のヒドラジンがまだだいぶん残っていたからだという。その事実はあったとしても、はやぶさが自分の存在を最後に顕示するために、ひときわ明るく輝いたのではないかと思いたくなる。日本の技術者を長い間追ってきた山根氏ならではの、技術者に対する深い思い入れが感じられる良いルポルタージュだと思いました。2010/09/27
たー
31
はやぶさの旅立ちから帰還までが分かりやすく書かれている。これだけのことを成し遂げた日本の技術は大変素晴らしい。2番じゃだめなんですかとか言っている場合ではない。2010/09/15
遅筆堂
29
まさに人と機械との心の交流。7年間という長い時間、大変だけどこんなに楽しいと思えることに関われる研究者たちが羨ましい。難解な科学の世界を分かりやすく噛み砕いてまとめ上げた山根一眞にも脱帽。ヲレのような文系事務職・くそオヤジでも、日本の技術力の凄さが理解できた。これからの日本を背負っていく子供たちに読ませたい。2010/09/20
MJ
27
相次ぐトラブルを克服し、困難なミッションを果たした小惑星探査機はやぶさ。イオンエンジンの運用、イオンエンジンを併用した地球スイングバイ、月以外の天体からの地球帰還(固体表面への着陸を伴う天体間往復航行)、月以外の天体の固体表面からのサンプルリターン、地球と月以外の天体からの離陸(着陸と離陸としては最小の天体)など、世界初の記録が目白押し。筆者は産業ルポの第一人者、メタルカラーの時代で有名な山根一眞。2021/05/01