内容説明
これまで土器研究は、時間の目盛りをつくり、あるいは地域や集団の関係を解き明かす研究として重視されてきた。しかし、近年、土器痕跡を多様な視点から観察し、分析することによって、社会や文化の新たな側面に光をあてることができるようになってきた。本書は、縄文時代から弥生時代の調理方法や生業、食の実態に迫り、また土器焼成ひいては土器生産を明らかにしようとする、最新の研究成果を盛り込んだ記録集である。
目次
1 食・調理(縄文時代から弥生時代開始期における調理方法;弥生土鍋の炊飯過程とスス・コゲの産状;韓国原三国時代の土器にみられる調理方法の検討―中島式硬質無文土器を中心に;同位体分析による土器付着物の内容検討に向けて―自然科学の立場から;同位体分析による土器付着物の内容検討に向けて―考古学の立場から;土器圧痕からみた食と生業;討論「食・調理」)
2 土器焼成と生産(土器焼成失敗品からみた焼成方法と生産体制;弥生早期(夜臼式)土器の野焼き方法
東北地方における履い型野焼きの受容
韓国無文土器の焼成技法―黒斑の観察と焼成遺構の検討から
胎土分析から推測する土器焼成技術と焼成温度との関連性―弥生土器と韓半島系土器の比較研究
討論「土器焼成と生産」)
3 シンポジウムを終えて(調理する容器;弥生土器焼成・生産をめぐる諸議論―討論のまとめとして;土器に残された痕跡から読み解く縄文、弥生文化)