内容説明
通常別々に議論されてきた連邦主義とコスモポリタニズムを、カントからの強いインスピレーションに基づいて、ともに「平和」を希求し支える構想・理念と捉え、可能性を探る。
目次
第1章 連邦主義―定義と歴史的素描
第2章 カントのコスモポリタニズムと連邦主義構想
第3章 第二次世界大戦後の世界連邦運動とその思想―リーヴス、デューイ、ニーバーほか
第4章 欧州連合の実験―その現状と連邦主義
第5章 ナショナリズム、愛国心、コスモポリタニズム―集合的アイデンティティーに関する一試論
第6章 現代のコスモポリタニズム―世界の貧困、核廃絶、国連改革
終章 分権型連邦主義とコスモポリタニズム―もう一つの世界、世界政府論、東アジアの和解と平和構築
付録 東アジアにおける和と共生の実現のために
著者等紹介
千葉眞[チバシン]
1949年宮城県生まれ。1983年プリンストン神学大学Ph.D.(政治倫理学)。西欧政治思想史・政治理論専攻。現在、国際基督教大学教養学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
6
「シュミットは、民主主義制度においては唯一の単一的構造をもった政治的統一体が存在しうるだけであるが、「あらゆる異なる連邦ー国家連合ならびに連邦国家ーにおいては連邦と並んで多数の政治統一体が共存している」と述べている。こうした論拠に基づいてシュミットは、「われわれアメリカ人は」で始まる憲法前文を有するアメリカ「連邦国家」ならびに…民主化を成し遂げたドイツのワイマール共和国を、「連邦的基礎をもたない連邦国家」であると見なした…シュミットのここでの第二の論点は、連邦主義と民主主義とを真っ向から対立させること」2021/10/16