目次
『唯識三十頌』内容と解説(帰敬偈;総論(第一偈)
初能変―阿頼耶識の変容(第二偈~第四偈)
第二能変―末那識の変容(第五偈~第七偈)
第三能変―感覚・知覚の変容(第八偈~第十六偈)
正弁唯識―唯識ということ(第十七偈)
心法生起―心の働きの起こり(第十八偈)
有情相続―生死と心のつながり(第十九偈)
三性―心に見える三種の存在形態(第二十偈~第二十二偈)
三無性―空性である三種の存在形態(第二十三偈~第二十五偈) ほか)
『唯識三十頌』を読んで
著者等紹介
広沢隆之[ヒロサワタカユキ]
1971年京都大学文学部哲学科卒業。1977年大正大学大学院博士課程(宗教学専攻)満期退学。1999年大正大学助教授を経て、同大学教授
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感想・レビュー
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非実在の構想
2
心の構造化の可否・利他行への関心の薄さ、という著者の唯識派への指摘はよく分かる2020/05/10
久松彰彦
1
日本における唯識は薬師寺や興福寺を代表とする法相宗によって担われてきた。これは玄奘三蔵とその弟子の慈恩大師が護法の解釈を正当として『成唯識論』を編纂したことをルーツにする。これは護法の考えを主軸とした『唯識三十頌』の注釈だが、護法の解釈にも批判されるべき点は多々ある。本書では護法と並んで安慧による注釈が多く盛り込まれていて、『成唯識論』だけでは理解できなかった部分まで示してくれる。サンスクリット原典も頻繁に引用されており、漢訳による弊害を極力少なくしてくれている。ただ、初めて唯識を学ぶには勧められない。2020/05/16
ぱひな
1
体調を崩してGWの半分は家にいた。で、何年か前に仏教学の先生から強く薦められていたこの本を思い出して、図書館から借りてきた。阿頼耶識とか末那識といったユング心理学に通底する言葉(概念)が出てきて面白かったけど、仏教素人なのであちこちに付箋を入れては読み返し、悪戦苦闘。正直に言ってやっと1割理解できたかなっていうのが読後感だ。これまでずいぶんいっぱい法事に行って説教を聞いたけど、この本の内容は100倍深く、難しい。もちろん宗派が違えば考えも違うのだろうけど、この本に心の安らぎを見つけられたような気がした。2016/05/06