内容説明
日常語としても使われる「聖」。「聖」概念の近代性とその限界にせまり批判的比較研究としての宗教学を提唱する。
目次
第1部 「聖」概念の再定位(反転図形としての「聖」概念;デュルケム宗教理論における「聖」と「力」;デュルケム・オットーの宗教理論における「聖」と「体験・感情」;“宗教・呪術・科学”三分法の成立と合理性―呪術論におけるデュルケムとオットーの位置 ほか)
第2部 宗教学の再定位(「鏡」と「擁護」―オウム真理教事件によって宗教学はいかに変わったか;空転する「対話」メタファー―批判的比較宗教学に向けて)
著者等紹介
藤原聖子[フジワラサトコ]
東京大学文学部卒業(1986年)。シカゴ大学大学院博士課程修了(2001年Ph.D.取得)。聖心女子大学・国学院大学・千葉大学・津田塾大学非常勤講師、日本学術振興会特別研究員を経て、2001年より大正大学文学部助教授
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感想・レビュー
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ゲニウスロキ皇子
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「聖」という概念に対する批判として、その西洋起的・唯一神的な価値観に基づいているというものが多い。しかし本書では、「聖」概念が近代という時代固有のパースペクティブを反映して生まれてきたという認識を掲げている。そして「聖」概念に重きを置いたデュルケムとオットーのテクストを吟味しながら、宗教学の基礎といえる部分を徹底的に問い直していく。個人的に理論的な研究よりも事例研究が好きなのだけれども、こういう論考を読むと自分たちの理論的な足場を問い直す姿勢は大切だなあと再認識させられる。2011/03/01