内容説明
直文、信綱、樋口一葉から佐太郎、北杜夫まで語りかけるようにして辿る二十一人の軌跡。短歌という魂の詩型への飽くなき好奇心は歴史に耳を澄ませる。
目次
和歌革新の先導者―落合直文と佐佐木信綱
明治三十六年、佐佐木信綱の甲斐紀行
樋口一葉―たはぶれに世をゆく身なりけり
与謝野鉄幹―和歌革新の力わざ
大白鳥となりて空行く―与謝野寛の魅力
正岡子規が目指したもの―万人のための歌言葉
開花する歌の近代―与謝野晶子
石川啄木―日本人の幸福
尾上柴舟―日記の端にしるす歌
〓頭はいよいよ赤く冴えにけるかも―風光の中の長塚節
大正二年の史的意義―『赤光』と『桐の花』
茂吉という問い
北原白秋―『白南風』と『牡丹の木』
心の微震を詠う―窪田空穂の短歌観
三木露風の世界―心ゆくばかりの歌
記録短歌への道―歌人村岡花子を考える
薄明穹のいのり―宮澤賢治短歌の宇宙
家常茶飯事の魅力―植松壽樹が目指したもの
眸を忘れじ―『新風十人』の筏井嘉一を読む
土屋文明の戦中を読み直す
個人と国家、一人の歌人の着地点―半田良平の昭和
純粋短歌という思想―佐藤佐太郎『帰潮』を中心に
吾が父の影をまなかひに見つ―歌人北杜夫の世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
9
直文、信綱、樋口一葉から佐太郎、北杜夫まで語りかけるようにして辿る21人の軌跡。短歌という魂の詩型への飽くなき好奇心は歴史に耳を澄ませる。 他に鉄幹、子規、晶子、啄木、柴舟、長塚節、茂吉、白秋、空穂、三木露風、村岡花子、宮澤賢治、植松壽樹、筏井嘉一、土屋文明、半田良平を取り上げる。2024/03/09
yumicomachi
3
落合直文、佐佐木信綱、樋口一葉、与謝野鉄幹、与謝野晶子、正岡子規、石川啄木、尾上柴舟、長塚節、斎藤茂吉、北原白秋、窪田空穂、三木露風、村岡花子、宮沢賢治、植松壽樹、筏井嘉一、土屋文明、半田良平、佐藤佐太郎、北杜夫。取り上げられた歌人を列挙するだけでも圧倒される。それぞれについて深く豊かに掘り下げられていて楽しく勉強になるし、戦後すぐの文学的戦犯探しの思想の浅薄さを真っ直ぐ指摘し、日常を平熱で歌うことの尊さに目を止めるなど、歌人で山梨県立文学館館長である著者の短歌観が自ずと伝わってくる。2021年9月発行。2023/08/05