内容説明
二〇一一年三月一一日、東日本大震災で大切なものの多くが消え去り、復興がはじまった。だが、その道はひとつではない。無数の異なる被害に対応する人びとの営みは、復興という名の開発の波に乗るかにみえて実は抗していたり、ことなるかたちの復興を目指していたりする。また「被災地」とされる地域のことが、震災のみによって語られてはならないし、「被災地」とされない地域のことを、震災と切り離して語ることもできない。本書では、震災前からの戦後開発の歴史的経験と、それを背負った人びとの生活という視点から、復興とは何かを問い、その先の未来を考えてみたい。
目次
序章 地域固有の生活史から描く開発・被災・復興
第1章 ここはここのやり方しかない―陸前高田市「広田湾問題」をめぐる人びとの記憶
第2章 原発推進か、反対かではない選択―高知県窪川におけるほ場整備事業から考える
第3章 福島復興に従事する地元青年にとっての故郷再生
第4章 「風評被害」の加害者たち
第5章 被災地ならざる被災地―秋田県大館市・小坂町の三・一一
第6章 中心のなかの辺境―埼玉県越谷市の三・一一
終章 「復興に抗する」経験を生きる
著者等紹介
中田英樹[ナカタヒデキ]
1971年生まれ。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了、博士(農学)。専門は、農業経済学・農村社会学・ラテンアメリカ地域研究。社会理論・動態研究所所員
高村竜平[タカムラリョウヘイ]
1968年生まれ。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了、博士(農学)。専門は、社会人類学・朝鮮近現代史。秋田大学教育文化学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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