内容説明
キェルケゴール没後150年記念論文集。キェルケゴール研究を軸に、デンマーク及び韓国の著名な三人のキェルケゴール研究者、そして日本の同研究者たち、さらにキリスト教神学の研究者たちによって共同で執筆された国際的な研究論文集。
目次
序 記念論文集刊行にあたって―橋本淳先生との出会い
論文(キェルケゴールと現代;セーレン・キェルケゴールの新版原点全集の刊行;韓国におけるセーレン・キェルケゴール;キルケゴール『現代の批判』とわれわれの「現代」;キェルケゴールにおける教会批判の射程;セーレン・キェルケゴールにおける“不死性”論争と実存的心理の地平―ひとわいかに“私”になるのか?;デンマークの武装中立と国際商業;キリスト教思想の構造モデルとしての“中心と円”―ルター『ガラテヤ書講義』の一テクストについての覚え書き;モルトマン初期三部作に見る三位一体論の形成;神の国と涅槃―ティりっひと久松真一の対話;パウロの「唯一の神」理解―第一コリント八・四-六の釈義的解釈学的考察)
回想(父の思い出―桝田啓三郎とキェルケゴール;キェルケゴール教会(大阪)の草創期
武藤一雄のキェルケゴール論
遙かなデンマーク―キェルケゴールの国)
感想・レビュー
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うえ
12
民俗学者も有り得たキェルケゴール‥。「キェルケゴールは、民衆文化について学問的著作を書くという目論みをもっていて、1835年の夏には北シェランへの旅を試みたが…口承農民文学の真の担い手の最後の世代を代表する人たちに出会った…しかしキェルケゴールは決して民間伝承の蒐集家にはならなかった。それに留まるには、彼には上層市民的文化があまりに深く根を下ろし、彼の哲学的な感覚も鋭敏すぎた。…アンデルセンは初期の民話の再話を早々に打ち切り、心理的に近代的で実権な童話創作に向かい…童話というジャンル型式にこだわり続けた」2021/12/20