目次
利己心、アイデンティティ、経済分析
共同体、規範、合理的判断
正義と共同体主義からの批判
描写的役割とアイデンティティに関する選択
発見か選択か
責任と群集行動
認知と文化
越境するアイデンティティと正義
著者等紹介
セン,アマルティア[セン,アマルティア][Sen,Amartya]
1933年インドのベンガル地方に生まれる。53年カルカッタ大学経済学部卒。59年ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで経済学博士号取得。ケンブリッジ、デリー、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、オクスフォード、ハーバード各大学教授を経て、98年よりケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ学長。98年度ノーベル経済学賞受賞
細見和志[ホソミカズシ]
1958年神戸生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。哲学専攻。関西学院大学総合政策学部助教授
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感想・レビュー
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roughfractus02
3
本書では、アイデンティティは市民や職業のような抽象的な概念への同一化の力であり、具体的な生命に対する共感と区別される。この区別によって著者は、共同体を所与と見なすコミュタリアニズムの考えに異議を唱える。アイデンティティは抽象概念への同一化という性質を持つゆえに、国境を超え、多様性へと踏み出す積極的な選択の可能性を持つ、と定義される。この背景には、所与としての共同体、という考えの中に、アイデンティティを受動的に訓育する企業や国家によって同じ情報を一方向的に与え続けるマスメディア的戦略に対する対抗策が窺える。2020/07/06
フジ
3
コミュニティが先だと思う。もちろん例外はあるけど。種の存続という意味で考えても人間の歴史はそうなっていると思う。2016/12/26
ばろっさ
1
センの入門として。2016/11/06
抹茶ケーキ
0
コミュニタリアニズムに対するリベラリズムからの反論。コミュニタリアニズムは、人間が必然的にコミュニティに生まれ落ちることを根拠に個人に対するコミュニティ(≒文化的アイデンティティ)の優位を主張するが、実際のところ、個人はある程度成長し理性を行使することができるようになれば、自らの判断でコミュニティを選択できるのだから、コミュニティの優位を前提する必要も、ましてコミュニティの絶対性を措定する必要もない。みたいな話。2016/10/08
FUTO
0
本書は講演に基づいているということもあり、とてもわかりやすい本です。2014/05/04