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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小野島 大
4
非常に面白かった! 主に70年代のロック〜ポップの名盤がいかにして生まれたかを、「レコーディング」という側面から切り取った著。音楽評論家であり、かつプライベート・スタジオを持つレコーディング・エンジニアでもある著者にしか書けない内容で、語り口は明快。一般にはあまりなじみのないヴィンテージ機材や今はもうなくなってしまった古いスタジオや裏方のエンジニアたちの話を、著者自身の体験や見聞を交えながらロマンティックでドラマティックなストーリーにまで昇華する手腕は見事。これを書くためにどれだけの資料をあたったのだろ2015/06/07
ナポリノロク
3
1970 年代の名盤を生み出したレコーディングスタジオ列伝。スタジオ、或いはエンジニアを軸にした音楽史があるというのは何となく気づいていたものの、話としてまとめたものは余り見たことがなかったので読んでみた。正直、一番興味のある時代よりは少し前の時代にフォーカスされていたのだけど、基礎知識としてインプットするには十分面白かった。2022/11/26
qoop
3
欧米の録音スタジオに注目し、その機材、エンジニアの特色を挙げながらそれぞれのスタジオで録音された代表的名盤を紹介した本書。ステレオ雑誌に連載されたというだけあり、録音と演奏の二本柱に立ってミュージシャンの音作りと人脈を概観するスタンスが面白い。ディスクガイドとしても興味深く、新しい視点で聴きなおそうと思わせられる。また、ロックの市場拡大と機材の進化が進む過渡期とも云える70年代前半の音を高く評価し、その理由を探る発想にも説得力があった。2018/06/07
Wataru Hoshii
3
レコードについての文章では、アーティストやプロデューサーについて書かれたものは多いけれど、それが生み出されたスタジオという場や録音機材やエンジニアについて語られることは少ない。しかしスタジオこそがレコードの音を生み出している本質的な要素なのだ、という視点で書かれた本。多少マニアックではあるが、この視点はレコードを聴く上でとても大切だ。ビートルズの「ヘイ・ジュード」とエルトン・ジョンの「ユア・ソング」が、トライデント・スタジオにあった同じ19世紀のベヒシュタインのピアノを使っているなんて、ワクワクする事実。2017/11/01
72ki
2
「音楽について書かれた文章」を読む楽しみとして、自分にとって未知の音楽との出会いということも大きいが、それと同じか、さらに大きい喜びとして、既知の音楽が自分にとって「まったく新しく」聴こえてくる、ということもある。本書を読むとその喜びに浸れる。 と、内容も素晴らしいのですが、高橋健太郎ファンとしては91年からずっと待っていた新作でもあり、昨年末のディアンジェロ新譜の時と同様の高揚感をおぼえつつ、毎日、なでまわしています! 2015/06/11