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内容説明
暗い時代に乱れ咲く生の軌跡。米騒動、ストライキ、民衆芸術論…。破天荒な生き方というだけでは語りつくせない、その思想に光をあてた、新たな評伝の登場。
目次
第1章 蜂起の思想
第2章 アナキズム小児病
第3章 ストライキの哲学
第4章 絶対遊戯の心
第5章 気分の労働運動
第6章 アナキストの本気
著者等紹介
栗原康[クリハラヤスシ]
1979年生まれ。早稲田大学政治学研究科・博士後期課程満期退学。現在は、武蔵野学院大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
90
かつて大杉栄という天才がいた。人はお互いに助け合えば資本家に搾取されずとも生きていけると説いた。時は蟹工船の時代。労働者は奴隷として扱われていた。平等を説くことは犯罪だった。何度も投獄されたが語学を学び、ダーウィン種の起源やファーブル昆虫記を翻訳した。人も進化するし、昆虫の社会性から学ぶことがあると説いた。だが殺された。甘粕大尉に拷問され井戸に捨てられた。ありとあらゆる人が奴隷となる危険を持っている。自らを開放せよ。自由になれ。恋と革命に生きた大杉。すこぶるいい男である。こんな男に会えるものなら会いたい。2020/06/03
現在葬送のフリーレンのコスプレ中・寺「葬送のフリーレンて何や!」
70
入手困難になっていた本書(夜光社版)の新品を見付けて喜んで読んでいたが、読メの新刊チェックを見たら、2月末に角川ソフィア文庫から「文庫版のためのあとがき」を加えて出るそうである(。´Д⊂)アウー。しかしこの版は表紙の絵が可愛いのが良い。大杉栄とアナキストというと、竹中労以来のロマンティックでいささか耽美に届く「美的浮浪者」のイメージに酔いそうになるが、栗原康は大杉栄とその仲間のバカな所や間抜けな所、ダサい所も隠さず描き、愛情を以て美化しない。その姿勢が本当にいいと思う。魅力的だから余計な神秘は無くていい。2021/01/04
harass
62
同著者の伊藤野枝伝が読みたかったのだが、以前に大杉栄を書いていたのを知り借りる。引用などの資料が多いが平易な書き方で読みやすい。独特な自由間接話法というか。大杉の現在性がよく分かる本だ。やはり稀な人物、快男児だ。「おわりに」で少し聞いていた著者の実生活についての話がでてくる(奨学金で借金して大学院まで行くが非常勤講師の仕事、年10万の収入しかなく、年金生活の両親に頼っているのだという)。後の伊藤野枝伝がヒットしたし名も売れたので良かった良かった。2017/05/06
きいち
34
『村に火をつけ白痴になれ』野枝伝を書いた栗原がすでに大杉栄を書いていたことを知り、飛びついた。面白くて、一気に読んだ。◇寂聴の小説のタイトルになった大杉のアジ文「美は乱調にあり」「諧調は偽りなり」の登場には震えた。監獄に放り込まれる度に蓄えた教養を、大杉は下々から自分を隔てるために使うのではなく、誰とでもつながるために蕩尽する。そのさまがかっこよくてたまらない。◇あとがきの、栗原自身の相互扶助体験からの、<大杉(≒栗原)はただひとつのものを信じていればよかった、ありふれた生の無償性。>のくだりもしびれる。2017/03/14
三鷹台のすずめ
4
ホントに最高におもしろい。大杉栄もおもしろいが栗原さんもおもしろい。文体がはねているようだ。生きることは 復讐である、熱い熱い。2017/09/06