内容説明
“太宰なんか嫌いだ”という人は実は読んでいない珠玉の作品をセレクト。
目次
1 泣ける太宰(『燈籠』;『黄金風景』;『メリイクリスマス』;『眉山』;『津軽(抄)』)
2 笑える太宰(『親友交歓』;『お伽草紙・カチカチ山』;『美少女』;『畜犬談』)
3 毒づく太宰(『家庭の幸福』;『川端康成へ』;『HUMANLOST(抄)』
『如是我聞(抄)』)
4 祈る太宰(『トカトントン』;『竹青』;『桜葉と魔笛』;『人間失格(抄)』
『待つ』)
著者等紹介
宝泉薫[ホウセンカオル]
1964年、岐阜県生まれ。早大第一文学部除籍後、著述業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サトル
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”生まれて、すみません”と語る太宰治には近づきたくないと思っていたが、印象的な作品を備忘録しておけば...「メリイクリスマス」はひねた中年作家と美しい面影を残す娘がうなぎ屋で小串の皿3枚とコップ酒3杯を並べている姿がなんとも哀しくて、「家庭の幸福」には津島修治という名の本人が登場し不幸な女を玉川上水に飛び込ませ、最後に一刀両断で”曰く、家庭の幸福は諸悪の本”と切って捨て、何か奮い立とうとする時に「トカトントン」という金槌の音が聞こえて来ては途端に腑抜けになってしまう。この習性にはまさしく共鳴してしまった。2019/10/21