内容説明
マルクスの「革命」からは何も見えてこない。しかし『資本論』には現代社会を考えるヒントがたくさん隠れている。世界で最初に書かれた完璧な資本主義経済の解説書『資本論』は、どのような理論的な手続きによって現代に生かすことができるのか?ゼロからの人にはもちろん、知ったつもりの人にとっても、目からウロコが落ちる「橋爪レクチャー」。
目次
第1章 マルクスは現代の貧困を救えるか(カール・マルクスという大きな「山」;世界の見取り図とマルクス;マルクスの基本(一)―「人類史」という発想 ほか)
第2章 『資本論』以前のマルクスをどう読むか(ユダヤ人問題とは何か;宗教とユダヤ人問題;マルクスの革命の論理―ヘーゲルとA.スミスの遺産 ほか)
第3章 『資本論』を手がかりに日本を読み解く(『資本論』という著作は、なぜ膨大なのか;マルクスと「マルクス主義」は、なぜ“同じ”ではないのか;「労働価値説」をどう考えるか ほか)
著者等紹介
橋爪大三郎[ハシズメダイサブロウ]
1948年、神奈川県生まれ。社会学者。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1995年~2013年、東京工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
28
前に読んだ橋爪と中田考の著作が見事だったので、本書を手に取りました。有効性を失ったマルクス主義を現代に読み替えるのは、グローバル資本主義の行き詰まりを打開するヒントが隠されていると直観するからです。中田との議論は地球規模の課題をカリフ制が克服できるかというもので、変な議論でしたが非常に有意義でした。カリフ制をマルクス主義に置き換えると、本書の議論の土俵は出来上がります。しかし、インタビュアである佐藤という人物の論点の設定が現実に近すぎるというのが本書の失敗です。マルクス主義に倫理を読み込み、資本主義の欲望2018/09/15
kenitirokikuti
8
図書館にて。2010〜12年くらいに行われた講義。橋爪氏には吉本隆明と小室直樹の門という認識を持ってるけど、OKよね。自分は90年代後半から00年代前半に小室を後から集めて読んだ。こういう経済学はひさしぶりに読む。半分は「マルクスのモデルは線型(linear)」で済むなぁ。ほか、アダム•スミスの考えはアトミズムだが、マルクスは「類的存在(gattungswesen)」、乱暴にいうと単位が高度に抽象化された個々人(インディヴィジュアル)ではなく、子孫を残す…再生産する「世帯」としている。2022/06/12
こばやし
6
インタビュー形式で展開されていきます。質問者がわりと読者に近いポジションで切り込んでくれるので比較的わかりやすい。何回も読んで頭にいれたいです。2016/01/22
Ryo Suenaga
3
マルクスなんてと僕の頭じゃ到底理解できましぇん、と敬遠したくなるテーマでしたが、インタビュー形式だからとにかく読みやすいし、おもしろい。 ベストセラーとなった『ふしぎなキリスト教』の共著者でもある橋爪先生の例えがわかりやすいし、あの『資本論』をここまで現代の社会問題に例えがら読み解く内容は目からウロコ。2014/03/26
amanon
1
二年前に一度読了していたのにも関わらず、登録する際になって初めてそのことに気づいた(笑)。それはともかくとして、『資本論』の言わば肝となる部分をかなり噛み砕いて解説しているので、初心者にもとっつきやすいと思われる。また、止まるところを知らないグローバリズムの中にあっても、マルクスの思想はまだまだ示唆に富むものであるということを改めて認識。ただ、マルクスが亡くなって百数年近くの月日が経ってもマルクスの仕事に匹敵するものが出てきていないという事実が重く感じられる。ただ、在日コリアンへの見解が頂けなかったけど。2016/06/30