感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
線形的世界で非線形をどう思考するのか?ゲーテは天候のTrübe(くもり)に自在な動きを見た。が、イメージは動きを保存しづらい。ここに著者は非線形の退化としてのデザインを見出す。様々な動きが見る者にとって生きていることを指示するなら、デザインは自身を退化として示しつつ動きを触発する必要がある。なぜなら、世界は3次元に固定されないからだ。宇宙を高次元連続体と考えたパースのアブダクションから始め、いくつかの概念をアルファベット順に配置(コンステレーション)した本書は、書物の線形性に慣れた読者を非線形的生へ誘う。2017/08/31
otoya
1
デザインはどのように行えばいいのか、とか手法を書いてあるのを期待して読んだら、デザインはどうあるべきか、と言った思想的な本だった。デザインの考え方が美に対してのものからだんだんと生活に対するものへと変化していったということが分かった。あるべき生活世界の形成、再編のためにデザインはあるという。商業主義の現代社会において、ほんとうにそれはそうなのか、と思わないこともない。けれど、この人にとってはデザインとはそういうものなのだろう。2014/11/15
Kenji Sakaguchi
0
◎
MO
0
著者の人生経験を通したデザインの考察とエッセイの体になる。バウハウスの系譜にあるドイツデザイナーの名前が多く出るので、一人一人調べてみると知見が広まって楽しい。大きな問題提起をしながらも窮屈に感じないのは、無理に答えを導き出さそうとはせずに、共に考えていこうというという姿勢を取っているからでしょう。「ある状態の偶然の出会いや多様な要因の集まりやある事態の同時発生などから生ずる新たな配置・形勢・局面・状況などへの転換」2020/10/25