内容説明
大学入試を「業者丸投げ」で英語教育は大混乱!日本の英語教育が危機的ゾーンに突入!読む・聞く・書く・話す=4技能型とは名ばかりの、実態無き「4技能妄想」を検証する。
目次
第1章 検証 大学入試にいったい何が起きようとしているのか?
第2章 英語がしゃべれないのはなぜ?
第3章 誰のための政策なのか?
第4章 検証 業者試験の「英語力」とは?
第5章 「実用英語」は実在するのか
第6章 「4技能」看板で英語力が落ちるわけ
第7章 安河内哲也さん(ネオ4技能主義の伝道師)と松本茂さん(学習指導要領策定協力者)へのおたずね
第8章 これからの英語学習のための提言
著者等紹介
阿部公彦[アベマサヒコ]
1966年生まれ。東京大学文学部卒。ケンブリッジ大学で博士号取得。東京大学文学部准教授。小説で1998年に早稲田文学新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
72
私は文法重視の英語教育を受けて育った。オーラル重視の英語教育を知らない世代である。両方の経験者はいないから、教育の受け手側からはどちらが良いともいえないのが歯がゆい。でも昨今の英語政策は偏って見える。スピーキングってそんなに大事か? 表向きジャパニーズイングリッシュを推奨し、裏では「母語から来る不適切なアクセント」を減点するなんて滅茶苦茶だ。そんな英語の専門家っぽい人の言説に踊らされつつ、シャベる訓練を神経質にしないと大学に入れない「スピーキング全盛時代」が来るのか。英語の勉強がますます苦痛になりそうだ。2018/06/21
kasim
35
暗澹となる。大学入試に英語の民間試験が導入されることの内幕と山のような問題点が簡潔かつ明快に分かる。センター入試の問題自体、昔よりずっとよくできていて民間よりレベル高いのに、これをやめさせる口実として「スピーキングがない」と因縁をつけてる感じ。英語コンプレックスを持つ国民と、愚かかつ/または悪質な政治家、とにかく儲けたい業界人の相乗効果。有識者会議のメンバーには当事者である業者が大勢と、歴史の浅い自分野の存在感を増したいコミュニケーション論の人一名がいて、必死に反論する教育専門家をなぎ倒していく。2019/02/22
mazda
24
先日のレビューで、R天のM谷氏のコメントがそこそこいい、と書きましたが撤回。本書の主題である大学入試英語の改革の際、彼は国のため一切の利益も考えずに教育改革を行うそうですが、楽天は2017年4月に英語教育事業参入を決めたそう。入試制度が変われば受験生は教えてくれるところを探しますが、そこには楽天が待ち構えている!?日本人に多いのが、英語ができる=英語がしゃべれる、ですが、英語がしゃべれるだけなら米国の幼稚園児でもできます。でも文章を読んだり書いたりできないですが、それでも英語ができると考えるのでしょうか?2018/11/23
たか
18
わかりやすい。これからは4技能っていわれても今までも4技能を意識してやってきたんでなにが変わるの?って思ってた。センター試験が業者の試験にかわることにも違和感があった。その理由を非常にわかりやすくかいてる。子供たちに英語を使うための土台とやり方をちゃんと伝えていきたい。多くの人に読んでもらいたい本。2018/02/20
ゲオルギオ・ハーン
15
英語教育政策、特に『英語4技能』という新しい評価基準の問題点を指摘した一冊。英語教育の改革と気取っているが、現在の評価基準を4つに分けただけ、スピーキング評価を入れたことを強調するも評価基準は曖昧というお粗末なもの。この政策自体が50年以上前からある「英語ができれば外人とペラペラおしゃべりできる」という思想の焼き直しで、教育者ではなく、勉強したのに外人と英語で話せないぞと大声で文句をいう政財界の大物たちが主導しているというのが問題の根本にあることを知れた。2020/06/25