出版社内容情報
この物語の舞台は１３世紀のドイツ、日本では鎌倉時代にあたります。皇帝の力が弱まり、たくさんの諸侯や城主が略奪や争いをくり返していました。そんな戦乱の中、オットーは城主の息子として生まれました。父親は略奪をくり返し、そのことが原因で、母親はオットーを産むとすぐに亡くなります。僧院に預けられたオットーは、祈りの中で静かに時を過ごし成長するのですが、ふたたび戦乱の世へと連れ出されます。その先で待ち受ける運命とは・・・。暗黒の時代に生きた、１人の清く賢い少年の物語です。
およそ12～13才から
内容説明
１３世紀のドイツ、略奪や争いがくり返される暗黒の時代に生きた、ひとりの少年の物語。
著者等紹介
パイル，ハワード［パイル，ハワード］ ［Ｐｙｌｅ，Ｈｏｗａｒｄ］
１８５３年アメリカ生まれ。クエーカー教徒で豊かな教養を持つ両親のもと、絵画と文学の世界を教わるなどして、恵まれた子ども時代を過ごす。若年層向けのイラストレーター、および著述家
渡辺茂男［ワタナベシゲオ］
１９２８年静岡市生まれ。慶応義塾大学文学部図書館学科卒業、米国ウェスタン・リザーブ大学大学院修了後、ニューヨーク公共図書館に勤務、帰国後は慶応義塾大学教授。児童文学の国際交流に力をそそぎ、国際児童図書評議会（ＩＢＢＹ）副会長を勤めた後、名誉会員。１９８０年第１５回モービル児童文化賞受賞。２００６年、他界（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
64
再読です。前回は偕成社文庫で読みました。立派な単行本になっていて素通りできなかったです。作者のハワード・パイルが文章と絵をかいているので文と絵がぴったりです。訳文も格調高くふさわしい。13世紀ドイツを舞台に、一人の少年の誕生、成長が描かれます。荒々しく暴力に満ちた騎士の世界、静かで美しくもある僧院の世界、主人公オットーは僧院に育つのですが、否応なしに世俗の世界に戻され、荒々しい暴力に傷つきます。荒ぶる父の最期の活躍。オットーの選んだ解決、澄んだ心が許しの道を示します。良作です、多くの方に読んで欲しいです。2021/06/26
seacalf
54
読メで見かけてずっと気になっていた作品。華やかで武張った騎士道の世界、其の実、酷い略奪が横行した中世ドイツが舞台の児童文学。主人公は男爵の息子オットー少年。修道院育ちの澄んだ心の持ち主に、血筋故の過酷な試練が待っている。竜の館の城主コンラッド男爵、老女中ウルセラ、修道院長オットー、ジョン修道僧、片目のハンス、宿敵ヘンリー男爵に娘のポーリン、個性豊かな登場人物に彩られたスピーディーな展開は一気に読ませる。何より作者ハワード・パイル自身が描いた緻密な挿絵が物語の中へと誘う。物語好きな子供達にお勧めしたい一冊。2021/12/16
シルク
22
この作者の『ロビン・フッドの愉快な冒険』がとても良かったので、代表作だというこちらを借りてきた。終盤まで主人公のオットー君が、個性の無い、臆病なだけの青白い子に感じられて、お話に乗れなかった。。。が、残り数ページというところで、文字通りドカンと来た。挿し絵の素晴らしさと相まって、忘れがたい印象の1冊になった。…「お前がコンラッド男爵の息子だな？ 私の叔父は、お前の父親になぶり殺しにされたんだ！」…父の留守中、城が襲われた。捕らえられた幼いオットーは、暗い牢部屋に押し込められ、そして残酷にも…てな物語。2022/04/12
aponchan
17
2冊を立て続けに読んだ息子の本棚の本のうちの一冊。物語として面白かったが、小さな子供に対するつらい仕打ちと父親としての強さを子供が読んでどのように理解するのだろうかと感じた。絵も作者のものとか。情景がイメージしやすく、理解を助けている。2019/10/06
joyjoy
10
著者自身による挿画が素晴らしい。ジョンの夢に出てきた大天使ガブリエルとか。ラテン語が入っていたり、天秤とか、髑髏とか、何かを象徴しているのだろうが、深く理解できないのがちょっと口惜しい。読み終えた後に表紙の絵のコンラッドの力のこもった眼を見るとグッとくるものがある。2020/07/03
