内容説明
スペイン国境に近い小村モンタイユーで14世紀に吹き荒れた異端審問の嵐。異端審問官が根掘り葉掘り聞き出した住民の生活実態。土地の司祭が9人以上の村の女性たちと関係していた事実まで明るみに…アナール派最高傑作。
目次
子供の時代。人生の諸時期
村で死ぬ
文化交流と社会的結合の構造―書物と夜語り
社会結合の構造―女・男・若者
居酒屋、ミサ、党派
思考の装置―時間と空間の観念
自然と運命の感覚
呪術と救済
ひたすら聖母に。ならびにその他の聖者
宗教慣行の実態
逸脱と善信者
恥と罪
貧困、喜捨、労働
民俗と亡霊
墓のかなた、冥界
家と冥界
史料、ならびに謝辞
著者等紹介
井上幸治[イノウエコウジ]
1910年埼玉県に生れる。1933年東京帝国大学文学部卒業。神戸大学、立教大学、津田塾大学教授を歴任。1989年死去
渡邊昌美[ワタナベマサミ]
1930年岡山県に生れる。1953年東京大学文学部卒業。高知大学、中央大学教授を歴任。高知大学名誉教授。2016年死去
波木居純一[ハギイジュンイツ]
1937年京都府に生れる。1959年学習院大学文学部卒業、61年フランス、ストラスブール大学プロテスタント神学部卒業。現在、津田塾大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hajimemasite
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アナール第三世代を代表するル・ロワ最高の名著だと思っている。下部構造から描き出される農村社会は、アナールならではの装いにて、辺境と農村と異端が混じり合う世界観を描き出す。好き。2022/11/28
まふ
0
読みかけて放っていた本の再読である。これを読まなければ宿題を忘れた気持である。カタリ派の異端に犯されたモンタイユー村の250人の生々しい生活記録。14世紀初頭の農民の素朴な生活が具に描かれてあり、著者の不朽の名作たる名声にふさわしい内容であった。ただし、表現が独特の持って回った言い回しであり、いかにもフランス人のエスプリの利いた表現ではあるが、すっきりと読みにくいのが難点であった。これで、漸く宿題が果たせた。モンタイユーとは何だ、と問われてももう大丈夫!2006/08/08