内容説明
聖書の絵画テーマが表現の可能性を汲み尽し、表現する力を失ってしまったとする声がすでに高まった時代に、シャガールの作品がわたしたちに贈られている。ここにひとりのユダヤ人芸術家が彼の民族にない宗教絵画に道をつけ、このように広く宗教的、旧約聖書的絵画テーマに取り組んでいることは、当然のことのように思われるかもしれないが、実際には驚くべき出来事である(本書より)。この美の巨人の存在こそ、もっとも今日的であり、もっとも刺激的な芸術を提示し続けてくれているのだ。
目次
序論(シャガールの芸術的表現形式;シャガールの聖書画の連作の成立のために)
旧約聖書テーマ領域―一部(天地創造と原初史;族長たちの話)
シャガールとハシディズム
旧約聖書テーマ領域―二部(モーセの話;イスラエルの列王;預言者像と預言者の幻視)
シャガールの作品における十字架にかけられた人
結びの考察
著者等紹介
ロータームント,ハンス‐マルチン[ロータームント,ハンスマルチン][Rotermund,Hans‐Martin]
1906年フライブルグ生まれ。マールブルグ、ゲッチンゲン、テュービンゲン、ミュンスターの各大学に学ぶ。特にゲッチンゲン大学ではD・F・ヒルシュ教授からキリスト教ドグマ史の問題提起、研究の指導を受ける。「ヴァレンチン・エルンスト・レェシャーのチモチウス・ヴェリヌス」で神学博士号を取得。牧師として聖職活動に携わる一方、キリスト教芸術に取り組んでいる
佃堅輔[ツクダケンスケ]
法政大学名誉教授、美術評論家
佐々木滋[ササキシゲル]
明星大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。