内容説明
今日の情報社会を鋭く予見した鬼才の処女作長篇「48億の妄想」、有機生命体の終末とその先に待つ世界を描く傑作「幻想の未来」、年少読者をSFの虜にした熱気溢れる入門書「SF教室」。著者最初期の3冊に加え、生頼範義のイラストストーリーや、幻の家族同人誌「NULL」の復刻も収録!
目次
1 48億の妄想
2 幻想の未来
3 SF教室(SFについて;SFの歴史;SFの名作;SF作家の案内;SFのマンガと映画;SFにでてくることば)
4 筒井康隆・イン・NULL1(1号~3号)
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年、大阪生まれ。同志社大学文学部卒。工芸社勤務を経て、デザインスタジオ“ヌル”を設立。60年、SF同人誌「NULL」を発刊、同誌1号に発表の処女作「お助け」が江戸川乱歩に認められ、「宝石」8月号に転載された。65年、上京し専業作家となる。以後、ナンセンスなスラップスティックを中心として、精力的にSF作品を発表。81年、「虚人たち」で第9回泉鏡花賞、87年、「夢の木坂分岐点」で第23回谷崎潤一郎賞、89年、「ヨッパ谷への降下」で第16回川端康成賞、92年、「朝のガスパール」で第12回日本SF大賞、00年、「わたしのグランパ」で第51回読売文学賞を、それぞれ受賞。02年、紫綬褒章受章。10年、第58回菊池寛賞受賞。現在はホリプロに所属し、俳優としても活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
94
筒井作品をこういうコレクションで読めることが素晴らしいことだと思います。『48億の妄想』のみ既読。『幻想の未来』は世界の移り変わりが幻想的で長編で読みたいと思わされました。短編として書き替えた別稿、『イラストストーリー幻想の未来』が読めるのも贅沢ですね。『SF教室』はSFに興味がある人にはうってつけだと思いました。幻の同人誌『NULL』の言行が読めたのも嬉しかったですね。筒井サンのSF魂が詰まったコレクション。文庫では手に入らない作品ばかりなので読む価値があると思います。2016/03/09
ぐうぐう
21
長編『48億の妄想』、中編『幻想の未来』、SF入門書『SF教室』が収録された『筒井康隆コレクション』第一巻。とにもかくにも『48億の妄想』がすごい! 今年敢行された筒井の新作と言われても納得してしまうほどに、描かれている様々なものが的中しまくり。これが50年前に書かれたとは、到底信じられない。SFとは未来を描くもの、それを50年後に実証しているのだから、すごすぎる。すごいと言えば『幻想の未来』のビジョンもぶっ飛んでいる。発表当時、賛否を巻き起こしたのもよくわかる。(つづく)2015/02/14
もくもく
15
三十数年前の中高生の時代に、イッパシのツツイストを気取って、手当たり次第に筒井作品を読み漁っていたワタシです。本書の出版を知ったものの、そのボリュームに購入を躊躇していたのですが、現物を手に取って…『SF教室』が収載されているじゃないか! これを手に入れずになんとする! となったのであります。ううう、懐かしいよ~ 懐かしさだけじゃない、ここで筒井先生・豊田先生・伊藤先生によって語られた優れたSFイズムから、たくさんのSFファンが生まれたことは間違いなく…たぶんワタシもその末席くらいにいるはずなんです。2015/03/13
ヘビメタおやじ
14
初期作品のコレクションということで、未読のものもあり興味深く読みました。「48億の妄想」は擬似イベントものの大傑作であり、「幻想の未来」は当時のSFの括りでは収まりきれない、プログレッシブな作品だと確認しました。そして、うれしく読んだのは「SF教室」でした。分かりやすく、SF全体が眺め渡せて、なおかつSFへの情熱と若い人への愛情が十分詰め込まれた良書でした。今、こんなに丁寧に自分の仕事について若い人に語りかける書物はあるのでしょうか、心配になりました。2022/08/10
てら
10
えらい時間をかけて読了。ほとんどが初めて読む作品だったが、やはり出色は『SF教室』。これを読んで泣かざる者、男子にあらず。もし中学生あたりで読んでいたら、完全に人生を狂わせていただろう(今が狂っていないかどうかは知らない)。表題作をはじめ、すべて初期作品=若書きだが、すでに独創と確信を感じさせる作風であり、その後の質と量を兼ね備えた活躍も納得。懇切丁寧な解説といい、挿絵に至るまで可能な限り復刻した日下三蔵氏の手腕と熱意に感謝を。2016/10/29