目次
セジウィックの論説(一八三五年)
ベンサム(一八三八年)
ヒューウェルの道徳哲学(一八五二年)
功利主義(一八六一年)
補論(『論説論考集』「序文」(一八五九)
『論説論考集』「附論」(一八五九年))
著者等紹介
川名雄一郎[カワナユウイチロウ]
2009年ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン政治科学大学院博士課程修了。Ph.D. in Political Science。京都大学次世代研究者育成センター特定助教
山本圭一郎[ヤマモトケイイチロウ]
2006年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。立命館大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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evifrei
17
功利主義をテーマにしたミルの論文が4本収められており、中でも『功利主義』と題された論文が一番引用・参照された頻度が高いのだろう。満足した豚より不満足なソクラテスの方が良い、という有名な銘文は本論文による。個人的にはベンサムの特筆すべき点と彼の功利主義の限界を述べた『ベンサム』が一番興味深い。ベンサム功利主義の難点の1つとして彼が生涯少年のような純粋な心を持っていたが故に、人間なるものの葛藤を余り理解していなかった事が挙げられているが、哲学には若干難解な人格が必要だというのがミルの理解でもあるらしい。2020/05/21
いしはたたかし(いっしー)
2
「満足した豚か、不満足なソクラテスか」で有名な『功利主義』に加え、『セジウィックの論説』『ベンサム』『ヒューウェルの道徳哲学』の3つを収める。セジウィックやヒューウェルといった直観主義者に対する反論と、同じ功利主義者であるペイリー・ベンサムらへのミルの反論が一冊でどちらも読めるようになっているのがよい。異常な数の注釈がつけられており、若干読みにくく感じたが、訳文自体はとても自然であった。また、川名・山本両氏による解説も充実しており、理解に役立つ。2011/07/28