内容説明
政治的権利を制限する法はどう作られ、運用されるのか。1969年以後のマレーシアの主要な立法過程とその運用を追跡し箍をはめ合う“民主政治”の実像を描き出す。
目次
序章 マレーシアの政治体制をどのように見るか?
第1章 協議・相互主義的制度から見るマレーシア―先行研究の整理と本書の主張
第2章 マレーシア政治史の概観
第3章 1971年憲法(修正)法―民族的属性に由来する権利をめぐる取引
第4章 1981年、1983年結社法(修正)法―新興主体NGOの制御と包摂
第5章 1986年国家機密法(修正)法―開発の時代の情報公開
第6章 1987年印刷機・出版物法(修正)法/1988年憲法(修正)法―自由主義制度と競争的政治過程の抑制
第7章 国家経済諮問評議会の成立―長期経済計画の協議的な決め方の制度化
終章 結論―協議・相互主義的制度から見たマレーシア
著者等紹介
鈴木絢女[スズキアヤメ]
1977年神奈川県生まれ。2000年慶應義塾大学法学部卒業。2007年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2008年博士(学術)取得。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がっち
1
協調と合意でできた政治。それがマレーシアである。アジアの政治というのは面白い。自由の中でも秩序があるが、それは問題点を抱えるものであって、これからのマレーシア政治ではどのようなものになっていくのだろうか。またこのようにマレーシアの政治を分析しているものはあまりにないので、大変たすかったものである。2013/06/04
kenken
1
明快な問題設定と丹念で手堅い分析。「抑圧や恣意といったキーワードでとられられる傾向にある同国の政治体制を合意やルールによってとらえ直す」2011/09/11