内容説明
愛、復讐、金…欲望のままに鉛板に刻む。呪縛呪文は1200年にわたり間断なく続けられていた。1600以上にのぼる呪詛板の発見例から、古代世界に生きた民衆の生のありようを見る。
目次
序章
第1章 競技呪詛板―劇場や競走場で
第2章 性愛の呪詛板―セックス、愛、そして結婚
第3章 訴訟・政争―「法廷で舌が麻痺しますように!」
第4章 ビジネス、商店、酒場での呪詛板
第5章 正義と復讐を求める嘆願呪詛板
第6章 その他の呪詛板
第7章 護符、解毒呪文、対抗呪文
第8章 文学史料、碑文史料の証言
著者等紹介
志内一興[シウチカズオキ]
東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。博士(文学)。中央大学他兼任講師。専攻は古代ローマ史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花林糖
13
(図書館本)古代ギリシア・ローマ時代の「呪詛板」「呪縛呪文」の研究書。呪詛の種類は「競技呪詛板・性愛の呪詛板・訴訟、政争・ビジネス・正義と復讐・護符・解毒呪文」など。訳者あとがきが有難かった。本文注釈が127頁ある。2016/03/12
∃.狂茶党
10
恨みによる呪法に釘を使うのはわかるが、恋愛にも用いるのはなぜか? 非常にあっさりとだが、釘付けにする、固定するという、釘本来の機能が意味を持つのではないかとの見解は、目から鱗だった。 これは日本で最も有名な呪法、丑の刻参りに、違った光を当てかけるのでは? この本が扱ってるのは古代の外つ国で、文化圏も歴史もかけ離れているが、呪術的心性だからこそ、共通の無意識的な何か、元型があるのかも。 どうも、呪いは産業だったぽく。 2023/03/22
なつき
10
普段ほとんど名を呼ばれることのない冥府の王ハデス様が連呼されてて嬉しいやら、用途を考えると切ないやら。恋愛呪詛に女性を愛する女性のためのものがあったり男性を愛する男性のためのものがあったり、古代はフリーダム。言霊によって力ある神を縛って言うこときかせる呪文の繰り返し、読んでるとトランス状態になりそうに。呪文ももっと短いと思いきやかなり長い。強い神様たくさん揃えて「さあ呪え!」って感じ。図書館で借りた本ですが、類書は無さそうだし自分でも欲しい。2016/04/27
kenitirokikuti
1
原著は1992年刊行。呪縛呪文(バインディング スペル)が書かれた古代の呪詛板(カース タブレット、デフィクシオネス、カタデスモイ)についての最初の研究書。呪い殺しなどではなく、被告側がゲン担ぎのようにやっておくのいうのが起源に近いらしい。2016/01/17
ヨシツネ
0
フレイザーの論が古すぎると感じた時に読む本2018/01/08