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学術選書
歴史と事実―ポストモダンの歴史学批判をこえて

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  • サイズ B6判/ページ数 305p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784876988570
  • NDC分類 201.1
  • Cコード C1320

内容説明

“歴史”とは、過去の出来事を徹底調査し客観的な“事実”を取り出して、これを記述したものだと、一般には受けとめられている。しかし、ポストモダニズムの台頭以来、歴史とは歴史家が過去についての見かたをそれぞれに語った物語にすぎないのであり、過去をそのまま復元したものではないという批判がある。本書は歴史学の原点である古代ギリシアの歴史家の見解を検討し、歴史を書くことの可能性についてあきらかにする。

目次

序章 いま何が問題なのか―ポストモダニズムと歴史学
第1章 歴史叙述の起源
第2章 ヘロドトス―事実とは情報である
第3章 トゥキュディデス―事実とは解釈である
第4章 ポリュビオス―事実の正確な理解を
第5章 「循環史観」という神話
第6章 ランケの歴史学とその後―事実とは史料である
終章 何が可能か

著者等紹介

大戸千之[オオトチユキ]
1942年生まれ。1970年京都大学大学院文学研究科博士課程中退。京都大学文学部助手、立命館大学文学部助教授、教授をへて現在、立命館大学名誉教授。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ポン

4
文学と歴史学の違いを古代ギリシャをひもときながら解説。両方を学んでる今、割と考えさせられるところも。著者の学者としての潔癖な態度には、頭があがらないが、歴史学の展望について、楽観的なところに落ち着き過ぎではないか、と思われる所も。2013/11/19

ゆたか

3
古代ギリシャの歴史家を中心に、歴史の記述とは何かを考察していく。今から2000年以上前に資料に基づくこと、出典を明記すること、等の歴史学(だけでなく他の人文科学や社会科学の領域に共通していると言えよう)の基本的姿勢が既に確立していたという点に驚いた。ただ、書名に「ポストモダンの歴史学批判をこえて」とあるのに、言語論的転回以降の歴史学についての考察にあまり頁が割かれていないことにやや不満を感じる。2013/02/12

Pyonkichi

2
著者の「事実」に対する向き合い方にはほぼ同意。ただし、史料=情報が増えれば「事実」に接近しやすくなるだろうという見方については、佐藤卓己『ファシスト的公共性』に批判がある通り、必ずしもそうとも言えないと思う。根幹となる史料=情報についての見方は、別に考える必要がある。2018/05/22

ハルバル

2
近代歴史学の父ランケから始まる実証歴史学に対するポストモダンによる批判―「歴史叙述の不可能性」、つまり事実をありのまま示すことはありえないという批判にヘロドトス・トゥキディデス・ポリュビオスらの歴史書を紐解きながら、歴史学の可能性を探る。 歴史に少しでも興味があれば必ず抱くであろう疑問(歴史と文学の相違点、歴史の書き方とは、そもそも歴史とはなんなのか)について示唆を得ることが出来るし、ヘロドトスらの問題点などよくまとまっていて面白かった。2014/11/28

Undeutliche

1
歴史を書くとはいかなる営みであるのかということを,歴史と文学との対比という補助線を引きつつ,古代ギリシャの歴史家たち,ランケ以降の実証主義的歴史学,現代の歴史記述と小説の境界線上にある諸論考を参照しつつ検討する。2015/02/22

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