内容説明
1979年のイラン・イスラーム革命については、新聞紙上の喧しい報道にもかかわらず、革命後の今日においても定まった評価は得られていない。イスラーム革命の精神を支える思想的基盤を確立したのは、ホメイニー師の愛弟子で凶弾に倒れたモルタザー・モタッハリー(1920‐79)である。イランでは英雄視されながらわが国ではまったく無名である哲学者の思想を紹介しながら、イスラーム主義の本質を明らかにする。
目次
第1章 イスラーム革命とアメリカ―革命の背景
第2章 ホメイニーの愛弟子―モルタザー・モタッハリーの生涯
第3章 神の公正とは何か―イスラームの神義論
第4章 近代西洋唯物主義批判―無神論との対決
第5章 史的唯物論とイスラーム的世界観―物質と精神の均衡の模索
第6章 自己を知ること―イスラーム的「完全な人間」
第7章 イスラーム的民主主義とは何か―近代西洋的価値への挑戦
著者等紹介
嶋本隆光[シマモトタカミツ]
1951年生まれ。大阪外国語大学ペルシア語学科卒業。UCLA歴史学科大学院修了。現在、大阪大学教授。専攻はイスラーム現代思想で、イスラームのシーア派に関する日本でも有数の研究者である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さんまさ
5
イラン革命の思想的バックボーンとなった宗教思想家モタッハリーを論じる。イスラム思想については一読では難し過ぎたが、いくら理想主義的で倫理的でも、絶対的な神の公正の名の下差別を相違と正当化し、結果として人権が抑圧される面もある宗教思想と、それを基盤にした宗教国家を、緩みや綻びはあるにせよこの現代に未だ維持している革命イランは遠い国だやっぱり。2014/06/17
金糸雀
3
シーア派の価値観というかなんというかがある程度詳しい.革命に影響を与えた宗教学者の哲学にスポットを当てるというのは面白い.モッラーの収入源にもう少し触れてくれたらモデル化できたのになぐへへ
kozawa
2
1979年革命に大きな影響を与えたモタッハリー中心に現代イランのイスラム思想を掘り下げる。宗教ベースと馬鹿にすることなかれ。現在の日本はこれ以上にモダンな思想が当然であるなどと果たして言えるかどうか2011/06/28
可兒
1
ゼミ用。再読必須2013/04/15
thuzsta
1
宗教者の哲学理解2012/02/01