内容説明
わが国におけるユダヤ教・キリスト教研究の第一人者が、イエスの同時代人であるフラウィウス・ヨセフスが書き残した『ユダヤ古代誌』を随時参照しながら、軽妙な語り口でヨセフスによる旧約聖書『創世記』の「再話」物語を紹介する。天地創造、人類の誕生と堕落、アブラハムとその子孫の物語について、随所に図版を織りまぜながら大胆に解釈することで、聖典の文字に隠れた真意が見事にあぶり出される。
目次
第1章 ヨセフスとその生涯
第2章 『ユダヤ古代誌』のはしがき
第3章 天地創造と人間の創造
第4章 人類の堕落・神の処罰と和解
第5章 アブラハムとイサク物語
第6章 エサウとヤコブ物語
第7章 ヨセフ物語
著者等紹介
秦剛平[ハタゴウヘイ]
1942年生まれ。国際基督教大学、京都大学大学院修士課程修了後、博士課程へ進学、後退学、ドロプシー大学大学院(フルブライト、1970‐75年)、ペンシルバニア大学上級研究員(1989‐90年)、オックスフォード大学客員教授(1999‐2000年)。現在、多摩美術大学教授(1984年以降)、同大学新図書館館長。専攻はヘレニズム・ローマ時代のユダヤ教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
11
第二次ユダヤ戦争の生残りで自民族弁疏の為に筆を執ったヨセフスによるユダヤ古代誌等を読解するシリーズ。本巻は創世記に戻る。神が世界を創造してからユダヤ民族の民族指導者の一人ヨセフが埃及王朝の宰相になる迄を述べる。コイネー話者である支配層を想定、彼らの受容を図り人名をギリシャ風に改め、割礼や異民族忌避等の習慣/傾向を緩和する記述で一貫する。セム民族の始祖アブラハムは、イラクからユーフラテスを遡上し埃及に至る大旋回で後代のモーゼを上回る。更に出エジプト記の背景である埃及でのユダヤ人集団の存在理由をも理解させる。2022/10/22
kiriya shinichiro
1
創世記のおさらい本。ヨフセスとは何者か、の入門書として、いいと思う。 正直、創世記はわりとわかりやすいので、ガイドなしでもある程度読めるけど、聖書の成り立ちについて再考したい人にはお勧め。2015/07/07