内容説明
たとえば「人はなぜ太るのか?」。それは、ヒトが、元来は食物を多量に食べることができない環境に適応した動物だったからである―私たちが人間独自の性質だと信じている事柄の多くは、ヒトが「サル」から引き継いでいる。家族、政治、戦争、言語等々、“人間性”の起源をサル学から解き明かした好著。
目次
現代人は狩猟採集民
人間性の研究の方法
社会生物学から見た人類
社会の起源
互酬性の起源
家族の起源
攻撃性と葛藤解決
文化の起源
言語の起源
知能の進化
初期人類の進化
終章
著者等紹介
西田利貞[ニシダトシサダ]
京都大学名誉教授。理学博士(人類進化論)。1941年3月千葉県生まれ。京都大学理学部・同大学院に学び、東京大学理学部助手(1969~74)、同講師(74~81)、同助教授(81~88)を経て、1988年より2004年まで京都大学教授。1965年からタンザニアのマハレでチンパンジーの行動学的・社会学的研究に携わり、1996年からは国際霊長類学会会長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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13km
2
類人猿は思ってたよりずっと人間に近い思考回路をしてる2012/01/08
_pikopon
1
霊長類学、行動生態学から人間行動の起源に迫る。内容はこの分野としてはオーソドックス。総合人間学を標榜するような学部で、文化人類学は学ぶが、霊長類学と進化学を学ばないのはおかしいという著者の叫びに納得。他の種も知らなければ、人間の何が特別で、何が特別でないかわからないまま。2010/04/09
yooou
1
☆☆☆★★2004/07/08
MIRACLE
0
ヒトという動物の特徴的な行動について、他の霊長類との比較をとおして、解説した本(「人間性を多様な側面から扱った生物人類学の書物」)。歯切れがよい文章。オオカミに育てられた少年・少女の話は、空想だ(オオカミの授乳は三時間に一回だが、ヒトの赤ちゃんは常時。よって、育児は無理)。ところが、日本ではそれが通用している(確かに、脳科学者の時実先生は、本で度々引用している)。筆者は、ヒトや霊長類の行動のあり方について、コストとベネフィットという社会生物学の用語で説明していて、正直、うんざりした。終章のお説教で台無し。2015/02/20
のあ
0
私たち人間は、進化の過程で便利と引き換えに色々なものを背負い込んでいるんだなと思った。 だからと言って、原始的な生活に戻りたいというのではなく、 いらないものを背負わず、シンプルに生きたいと思う。2014/05/26