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内容説明
オリーブの木の生育する地中海は、ギリシア・ローマを中心とする古典文学の宝庫である。豊穣の海は、ホメロス、ウェルギリウスの叙事詩、悲劇や喜劇、ギリシア小説、さらに時代を下ってはドン・キホーテの物語と、さまざまな作品を生み出してきた。西洋古典文学に造詣の深い著者が各地を訪ね歩き、筆まかせに綴ったエッセー―それは他の追従を許さぬほど内容豊富な文学入門でもある。
目次
第1章 なぜアキレウスが―トロイア
第2章 オデュッセウスの涙―スケリエ島
第3章 目を潰すオイディプス―テバイ
第4章 紡ぎ出された都市―アテナイ
第5章 『アンドロメダ』異聞―アブデラ
第6章 『メデイア』その後―ローマ
第7章 アエネアス、逃げる―カルタゴ
第8章 手紙を書くカリロエ―シラクサ
第9章 ドン・キホーテのカタバシス―ラ・マンチャ
著者等紹介
丹下和彦[タンゲカズヒコ]
1942年岡山市生まれ。1970年京都大学大学院文学研究科博士課程中退。2005年京都大学博士(文学)。和歌山県立医科大学教授、大阪市立大学教授を経て、関西外国語大学教授、大阪市立大学名誉教授。専攻は西洋古典文学で、ギリシア悲劇を中心に著書、翻訳が多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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みのくま
5
本書はホメロスやギリシア悲劇に留まらず、ギリシア小説やローマ人によるギリシア悲劇の二次創作、そしてドン・キホーテまで通観する地中海文学史である。アブデラ市民がエウリピデス「アンドロメダ」に熱狂した事に対しての分析や、エウリピデス「メデイア」をローマ人エンニウスやセネカがどのように翻訳・改変したかなどはかなり多くのヒントが散りばめられていたように思う。また、ギリシア喜劇から新喜劇、そして後2世紀から大衆ロマンス小説として発展したギリシア小説群も大変興味深いし、ドン・キホーテとオデュッセイアの関係も重要である2024/01/11