内容説明
生命を育て、生活の素材としても欠かせない土。身近で馴染み深いにもかかわらず、その素性や働きを私達は意外に知らない。「砂漠化」や「土壌劣化」などの言葉がしばしば聞かれるように、自然と人や生き物の営みが見事にバランスされることで育まれた「土」が、今、危機に直面している。「土」の性質や働きを学びながら、21世紀の自然と人の関わりの在り方について考える。
目次
第1章 はじめに
第2章 土壌はどのようにしてできるか
第3章 植物の栄養と土壌の働き
第4章 日本の畑の土
第5章 水田稲作と土
第6章 土の中の生き物たち
第7章 世界の土と日本の土
第8章 地球環境問題の中の土壌
第9章 人間にとって土とは何か
著者等紹介
久馬一剛[キュウマカズタケ]
1931年生まれ。1954年京都大学農学部農芸化学科卒業。同大学院博士課程修了。1960年京都大学農学部助手、京都大学東南アジア研究センター助教授、教授を経て1978年より京都大学農学部教授(土壌学講座担任)、同学部長。1995年滋賀県立大学環境科学部教授、2001年退官。京都大学名誉教授、滋賀県立大学名誉教授。この間日本土壌肥料学会会長、日本学術会議会員、国際イネ研究所理事などを歴任。水田土壌学、熱帯土壌学を専門とし、日本土壌肥料学会賞(1975)、日本熱帯農業学会賞(1978)、日本農学賞、読売農学賞(1985)。を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハエドリ
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土壌学のエッセンスを一般読者向けの平易な文章で学べる。土壌生成・土壌栄養・物質循環・環境問題などなど、トピックも幅広い。初学者にもってこい。2017/09/01
里のフクロウ
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いわゆる農学書とは異なり、一般読者に土について解説することを試みたとの著者の弁である。それでは平板で専門性に欠けるかといえば、決してそんなことはない。土の本質は生成の成り立ちと性質そしてその働きや人間との関わりで説明される。その態度は生命あるもののとらえ方であり、深遠なものがあることを教えられた。そして解説の態度はあくまでも学究的である。特に日本で水田農業が基幹となった理由については日本の土の特性がよく理解できるものであった。土の人間との関わりでの意義という意味での土を理解できる良書である。2017/01/08
hogeoka toru
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表紙を見て軽い気持ちで読み始めてしまったが、今まで関心がなかったことまで知れてよかった。土の成り立ちや回復などあまり考えたこともなかった。2021/04/04