内容説明
宣長、源内、蒹葭堂、彼らが求めた地図とは?有名無名、18世紀日本における数多の知識人たち。収集・貸借・実作と、地図を好み集めた彼らの営為から、地理的知識の意外な役割と、知のネットワークを探る。
目次
知識人たちの森へいざなう地図
第1部 本居宣長の地理的知識(青年期宣長と地図;宣長の教育と地図;宣長と世界図―地図貸借と利用の観点から)
第2部 江戸期最大の地図作製者、森幸安(「ナゾのカルトグラファー」の実像;森幸安の地誌と地図)
第3部 地図と一八世紀の社会(地図貸借から見える知識人社会;博物学と地図収集ネットワーク;三才須知―地図収集の政治・思想的背景)
著者等紹介
上杉和央[ウエスギカズヒロ]
1975年香川県生まれ。京都大学博士(文学)。現在、京都府立大学文学部講師。研究テーマは、地理的知識の歴史地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yooou
5
☆☆☆★★ 一枚の地図から江戸時代の広大な知のネットワークを呼び覚ますアプローチは見事でした。2010/09/23
アメヲトコ
2
ようやくちゃんと全部読みました。本居宣長による地図(絵図)収集から筆を起こし、単なる地図史にとどまることなく、近世における知のネットワーク形成と博物学的知の誕生にまで話を拡げていくあたりは見事。「図」を扱う人に多くの示唆を与えてくれるであろう一冊です。2014/11/26
akuragitatata
0
抜群に面白かった。江戸の中後期にはもうマテオリッチを経由して世界地図があったこととかもそうだけど、想像上の地図から都市感を読む研究や、博物学や好古趣味との連続性をみた後半も素晴らしい。平賀源内のような異端の人物たちすら位置づける江戸の好奇心についての書とも言える。2021/09/17