内容説明
知られざる福祉社会の源。公刊史料、そして市民の肉声から、大胆に活写される新しいイギリス像。
目次
序章 偽善・不合理・前近代?―博愛活動とイギリス
第1章 さまざまなチャリティのかたち(遺産の半永久的な運用―信託型;寄付者の民主主義―結社型 ほか)
第2章 近代国家とチャリティ(通史にチャリティを導入する;誰が誰をどのように救うのか―救貧法の再検討 ほか)
第3章 慈善社会で生きるということ(与える人・受け取る人―階級・ジェンダー・ネイション;日常と空間 ほか)
終章 「チャリティの近代」のゆくえ
著者等紹介
金澤周作[カナザワシュウサク]
1972年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。川村学園女子大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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伊藤直起
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『乞食王カルー』が紹介されている。名家出身者が乞食を詐称しながら冒険をして大富豪となる小説だ。英国人は税金が嫌いで、困っているフリをしている人に騙されるのも嫌だが、困っている人を助けたい(元はカトリックの積善の影響だろうが、宗教改革後も同様)。とはいえ、物乞いに施しを与えることは、その人の自助力を奪い、治安の悪化にもつながるので、もしかしたらは悪いことなのではないか?という懐疑心があったので、中間のものとして私的団体を通したチャリティが行われた。そうした背景で盛んな英国のチャリティの歴史を叙述する。2022/01/22