内容説明
モノが誘い、愛を語りはじめる。人とモノと身体との妖しくも豊潤な関係を問い直す。
目次
フェティシズム研究の課題と展望
第1部 フェティシズム研究の系譜(宗教としてのフェティシズム―近代「宗教」概念理解への一つのアプローチ;モノを否定する、モノが否定する―現代キリスト教形象論からみた「否定的」フェティシズムの可能性 ほか)
第2部 フェティシズムとモノ研究(モノ愛でるコトバを超えて―語りえぬ日常世界の社会的実践;人とモノのネットワーク―モノを取りもどすこと ほか)
第3部 フェティシズム研究の展望(平和のフェティシズム考―文化的フェティシズムの新たな地平;フェティシズムとマジカルリアリズム―タウシッグの著作をめぐる覚え書きとして ほか)
著者等紹介
田中雅一[タナカマサカズ]
1955年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。人類学(南アジア)、ジェンダー・セクシュアリティ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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★★★★★
3
フェティシズム論の現代的意味を考察する論文集。西欧近代のデカルト的二元論や20世紀の社会科学におけるロゴス中心主義を、モノとの関係に着目することで乗り越えようとする試みです。執筆者は人類学者が中心となっており、アクター・ネットワーク系の人が多いようです。フェティシズムという概念の使い方が論文ごとに微妙に異なっていて、全体を通して読むと本としては一貫性にブレが生じているように感じますが、個々の論文はいずれも面白かった。2011/02/09
Mentyu
1
フェティシズム論の論文集。宗教学や文化人類学をはじめ、様々な領域からの議論が展開されている。読み応えのある論文が多く非常に面白かった。特に言語論的転回で形成されたパラダイムに対して、なぜあえてモノを扱う必要があるのか再考する第5章は手に汗を握る内容だった。こうした議論を日本考古学が白眼視しがちなのは、やはり損失に思えてならない。2018/09/08
水野
0
もうちょっと精神分析とか対象関係論に振ったのが読みたい。続刊かしら。2012/10/16