内容説明
軍人皇帝時代も後半に入り危機克服の兆しが現われる。異色のローマ皇帝伝記集、堂々の完結!本邦初訳。
目次
神君クラウディウスの生涯(トレベリウス・ポリオ)
神君アウレリアヌスの生涯(シラクサのフラウィウス・ウォピスクス)
タキトゥスの生涯(シラクサのフラウィウス・ウォピスクス)
プロブスの生涯(シラクサのフラウィウス・ウォピスクス)
フィルムス、サトゥルニヌス、プロクルス、ボノスス、すなわち四人の僭称帝たちの生涯(シラクサのフラウィウス・ウォピスクス)
カルス、カリヌス、ヌメリアヌスの生涯(シラクサのフラウィウス・ウォピスクス)
著者等紹介
井上文則[イノウエフミノリ]
早稲田大学文学学術院准教授。1973年京都府生まれ。2001年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。2012年日本学術振興会特別研究員、筑波大学大学院人文社会科学研究科講師、准教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
歴史上、群像劇的な物語は不透明な世界を多数の視点から多角的に描いてきた。軍人皇帝時代後半からディオクレティアヌス即位直前までの評伝を集めた本巻は、歴史的に虚偽とされるエピソードも含めて、他民族との争いによる元老院権力の衰退と軍人階級の台頭によって変容する帝国そのものを物語るかのようだ。本書は、複数の著者が専制君主ディオクレティアヌスに献呈する形を採ったとされる。が、真偽もつかぬこれらエピソード群は、この混乱を通して共和制が崩れ、専制君主制へと移行する政治システムの変容をモザイク状に描き出したように見える。2022/07/04
刳森伸一
4
軍人皇帝時代の後半を彩る皇帝や簒奪者の伝記を収める。特定の皇帝を讃美し、他を貶す感じになっているが、それを鵜呑みにはできない信用のなさは相変わらず。思い入れのある皇帝もほとんどないのだが、エピソードを一から創作しているところもあるだけに、読み物として面白いところがある。しかし、最大の魅力は『ローマ皇帝群像』全体にわたる解題があるところだろうか。 2016/02/20
Βουλγαροκτόνος
0
アウレリアヌス帝は「善い皇帝」ではなく「必要な皇帝」だった、という表現が非常に的を射ていると思う。また、プロブス帝の「やがて、ローマに兵士は必要なくなるだろう」という言葉も魅力的。2023/05/04