内容説明
「これまで行なわれたすべての戦争のなかで最も記憶すべき」と評されるハンニバル戦争(前218‐201年)を扱う第3デカーデ(第21‐30巻)のうち、本分冊では最初の2巻を収録。宿敵カルタゴによるヒスパニア征服から、名将ハンニバルのアルプス越えによるイタリア侵攻、トラスメンヌスとカンナエにおけるローマの大敗へ至る、開戦前後の緊迫した情勢が物語られる。本邦初完訳。
目次
第二一巻
第二二巻
著者等紹介
安井萠[ヤスイモユル]
岩手大学教育学部准教授。1964年東京都生まれ。1992年東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。2004年東北大学博士(文学)。2007年東北大学文学部助手などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
前巻から本巻の間には、第一次ポエニ戦争までの記述が失われている。第二次ポエニ戦争でハンニバルの登場を記す2巻から始まる本書では、イタリア半島を勢力下に治めたローマと地中海の海洋支配を進めるカルタゴがシチリアを巡って争う中、著者がハンニバルを迎え撃つ名将スキピオを、戦争で傷ついて性格が変わる様を記す点が特徴的だ。E・M・フォースターは、18世紀までの人物描写は一つの性格を表すフラットキャラクターが主流だというが、既に前1世紀の本書には、ある出来事で性格が変わる近代的なラウンドキャラクターの兆しが見られる。2022/07/16