内容説明
教育の公平性は国家建設にとって、最も重要な問題である。とりわけ多民族国家においては、その失敗は、深刻な亀裂に直結する。社会主義国家建設から南北統一、そして市場経済への移行という僅か半世紀の大変動期、54もの少数民族をかかえるベトナムがそれをどう達成しようとしたか。「少数者の存在」を国家統合の要とできた秘密に、民族誌と政策分析の双方から迫る。
目次
資源化される「民族」
第1部 少数民族教育政策と民族寄宿学校をめぐる歴史的展開(ベトナム教育政策の展開と少数民族;民族寄宿学校の誕生)
第2部 民族寄宿学校をめぐる運用の地域的多様性(民族寄宿学校の制度と運用;民族寄宿学校の選抜メカニズム―優遇政策の利益配分と高等教育進学をめぐる比較分析;少数民族の教育達成と民族寄宿学校の役割)
第3部 優遇政策が少数民族社会に及ぼした影響(「少数民族」を選ぶ人々)
「民族」資源をめぐるポリティクス
著者等紹介
伊藤未帆[イトウミホ]
東京大学東アジアリベラルアーツイニシアティブ(EALAI)特任講師。1976年東京都に生まれる。1999年東京女子大学文理学部社会学科卒業。2008年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程満期退学。2011年博士(学術)学位取得。東京大学東アジアリベラルアーツイニシアティブ(EALAI)特任助教(2008年~2010年)、日本学術振興会特別研究員(2010年~2013年)を経て、2013年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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